欧州リスク評価委員会 四フタレートを「制限」に加えるのは正当でないと結論

2012.6.15 ECHAはそのウェッブサイトで、欧州リスク評価委員会(RAC)が、物品(Articles)中のDEHP, DBP, BBP, DIBPをREACH 制限 に加えることは、正当でないとの結論が総意として採用したと発表。

これら4つのフタレートについてその複合影響(combined effects)の指摘ついて現在のデータからは認められないとの結論が得られたようである。すでに採られている「認可」制度へのこれらの組み込みが有効であって、使用量が減る傾向にあるとの社会経済分析の結果も公表されている。ただ、認可要件を厳しくする可能性が指摘されている。

社会経済分析委員会(SEAC)が遅くとも本年12月には提案の制限へのこれら4物質への組み込みの提案は正当でなく、採用できないとする結論を60日間のパブリックコメントに付すとも公表している。

【解説】

制限と認可

制限リストに入ると製造やアーティクルへの組み込み、あるいは、指定された用途への使用が禁止される場合があった。

これらの物質はすでに「認可リスト」に入っており、物品への組み込みは規制を受けており、また、物品中への使用の届け出は求められていた。 消費者はリスクの高い使用を避けることは全体として可能である。

一方、この認可制度により、2015/02/21のいわゆる”Sunset Date”以後の製造使用取扱を実施したいDEHP等の製造取扱業者にはその物質のその使用取扱について化学物質安全評価(リスク評価)を実施し、認可申請書を期限(2013/8/21)までにすることが求められている。 この物質は認可を認められた使用取扱(一定の審査期間中の場合を含む)についてのみ、2015/02/21のいわゆる”Sunset Date”以後, この物質の化学品としての製造、物品への組み込み、使用取扱が限定的に許可される。

ECHA Chesar 2.0 リリース計画

ECHAChesar 2.0のリリース計画を公表しています。

以下は、ECHAが2012年4月26日に開催したウェブセミナーの情報に基づきます。
このリリース計画における各リリースでは、新しい機能が追加されるだけ。アプリケーションは安定した状態を保つとしています。

リリース履歴

  • Chesar 1.0 – 2010年5月
  • Chesar 1.1 (IUCLID 5.2.1互換) – 2010年7月
  • Chesar  1.2 – (暴露シナリオ(ES)-安全データシート(SDS)ためのボックス5を追加 ) – 2011年8月
  • Chesar  2.0 – 2012年6月リリース予定

Chesar 2 の基本理念はChesar 1 と同じ。 ただし、以下を改善:

  • 初期アセスメント(Initial assessment)の改善(refinement)をより支援
  • アセスメントの効率アップ(たとえばアセスメントのコピー&貼り付け)とCSA要素を物質間での再利用性を改善
  • アセスメントの手作業の軽減と暴露量見積ツールにより関連付けた段階的組み込み(ECETOC TRA 消費者用、第一段階の Stoffenmanager)
  • インストールが容易に

Chesar  2.0 6月末。 その機能:

  • IUCLID  5.4データベースに基づいて化学安全アセスメント(CSAs)が実施できる
  • 化学安全報告書(CSR)の9, 10章を生成できる

      → CSR生成ユニット(IUCLID plug in)の更新: 2012年第3四半期。その機能:

  • Chesar  2.0からIUCLID 5.4へ用途/取扱/使用(uses)に関する情報を掃きだす(export)
  • CSR全体を生成。IUCLID5.4とChesar 2.0の情報を結合して。

Chesar 2.1 → 2012秋口: その機能:

  • ECETOCによって開発される消費者暴露量見積ツール(TRA消費者用)
  • 標準文言ライブラリ(CEFICのEScomプロジェクトとの協力作業の進展により)

Chesar 2.2 → 2012後半から2013始め: その機能:

  • 商流での情報伝達用の暴露シナリオの生成

【解説】 

REACHの要件のひとつ: 暴露シナリオを、化学安全報告書の一部として当局に提出、また、eSDSの一部として顧客に提供

当局へ化学安全報告書提出

REACH法は、一定の要件を満たす欧州の化学物質の製造及び輸入業者に、その化学物質が安全に使用されていること証明する報告書(化学安全報 告書 CSR)を欧州化学物質庁(ECHA)に提出を求めています。 一定の要件を満たす物質については、CSRにその製品がかかわる商流全体で、その製品が安全に使うための条件を記載した暴露シナリオとよばれる書類を含めることを求めています。暴露シナリオには、その製品にかかわる労働者と消費者と環境を保護するのに必要な製品の使用取扱い方法が記載されていなければなりません。

商流での情報伝達(顧客へのSDS)

一方、暴露シナリオはSDS(日本でいうMSDS)に添付して、自分の顧客、またその顧客、結局その製品がかかわる商流全体にその製品の労働者、消費者、環境に安全な使用取扱い方法が間違いなく伝わるようにすることを求めています。このSDSを拡張SDS(eSDS)と呼んでいます。

化学物質の使用の包括的な安全という国際目標–Agenda 21 19章

これによって、化学物質の誕生(製造)から廃棄までのすべての段階で、化学物質の安全な使用取扱いを、間違いなく実現することを狙っているのがREACHであり、これはAgenda 21 19章の欧州における具体化と位置付けられます。

CHESARは、化学安全アセスメントとその報告書作成支援ツール

暴露シナリオは、化学安全アセスメントの実施して初めて作成できます。この化学安全アセスメントは産業界には負担が大きいため、当局は、産業界が化学安全アセスメントを実施するのを支援するために財政的、人的、情報技術リソースを割いています。ECHAが提供する情報技術のひとつが、化学安全アセスメントとその報告書作成支援ツール(CHESAR)です。

 

欧州化学戦略

これをひとつのてことして、欧州の化学界は、Agenda 21のねらいである持続可能な発展(Sustainable Development)の化学での具体化であるその19章の目標むかって、国際的に先頭にたち国際化学業界のイニシアチブを取ろうとしていることが垣間見えます。

ECHA 4月の先導登録者向け CSAとChesarセミナーの記録公開

ECHA 4月に実施した化学安全アセスメント(CSA)と化学安全アセスメント実施とその報告書作成アプリケーション(CHESAR)の、先導登録者限定で実施したWebセミナーの資料とWebiner recordを公開しました。

 

 

その資料は次からダウンロード又は閲覧が可能です:

 

recordを閲覧するには、WebEx Playerが必要です。 無償でCiscoの次の頁からダウンロードできます。

 

 

5/21 ECHA 化学安全評価とその報告書作成支援アプリケーションCHESAR 2ウェブセミナーを一般向けに開催

5/21 に欧州化学物質庁が準備しているCHEAR 2のセミナーでは新しいバージョンのデモが見れる。これに参加するには事前の申し込みが必要で、次の頁から可能。

https://echa-events.webex.com/echa-events/onstage/g.php?t=a&d=700753649

また4/26に先導登録者に対してだけ実施されたウェブセミナーもビデオとして公開。次のページからアクセスできる。

http://echa.europa.eu/web/guest/view-article/-/journal_content/2afff66e-efa3-4cae-99d6-0008c5c28bec

4/12 EUSES 2.1.2リリース

2012.4.12 欧州共同研究センター(JRC) 健康と消費者保護研究所(IHCP)から、EUSES 2.1.2バージョンがリリースされました。 次のページからダウンロードできます。

European Commission > JRC > IHCP > Our Activities > Public Health > Risk Assessment of Biocides > EUSES

EUSESは殺生物剤(BIOCIDES)指令だけでなく化学品のリスクアセスメントのためにも使用されています。 このバージョンでは、Biocidesの6つシナリオが更新されるなどしています。

ECETOC TRA 3 — 消費者暴露評価専用版に新しいシート

ECETOC が TRA 3 (Excel版)をリリースしました。 消費者暴露評価専用ツールを改訂し、add subcategories シートを追加した。Dermalの計算ページに若干のバグがあるものの計算には使える。 しかし、パラメータの一部(皮膚透過度など)の入力可能等にとどまり、事前にCEFIC seminar等で案内されている物に比べると些細な変更のようにも見えます。

5月3日に開かれるセミナーで何が語られるか興味深いところです。

統合版もあわせてリリースされました。これについては別途報告します。

ダウンロードは次のページから。
http://www.ecetoc.org/tra

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