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翻訳用語集 混合物 Mixture 

2015年5月14日

mixtureは一般的な辞書では次のように定義されている:

(technical) a combination of two or more substances that mix together without any chemical reaction taking place
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)

これはREACH/CLPにおける次の定義とさしてかわりない:

‘mixture’ means  a mixture or solution  composed  of two or more substances;
(CLP規則 第2条8)

しかし、substanceが純物質でなく、

‘substance’  means  a  chemical  element  and  its  compounds  in  the natural state or  obtained  by  any  manufacturing  process,  including any additive  necessary  to  preserve  its  stability  and any impurity deriving from  the process  used,  but excluding  any solvent which may  be separated  without  affecting  the stability  of the substance  or changing its  composition
(CLP規則 第2条7)

と定義されていることに留意する必要がある。

そう定義すれば、REACH/CLPの文脈でsubstanceは純物質に限らないし純物質の(一般的文脈での)混合物は(REACH/CLPの文脈での)混合物では必ずしもないということになる。

そもそもCLP規則の「混合物」の定義文にはこの異なる文脈での「混合物」が使われている。
 最初の”mixture”はCLP/REACHのmixtureであることは疑う余地がないが、後者の”a mixture”は一般的なmixtureといえる。後者を関係代名詞節により、REACH/CLPの「物質」を使って限定しているわけだ。この mixtureに付いているaは、定義の異なるmixtureがあることを示している。

このように考えると、REACH/CLPの「混合物」は人為的に混ぜたものと理解して大筋問題はなさそうだ。そう理解して違いが出るのは、物質の安定剤を人為的に混ぜたケースである。

米国の化学教育ではMixtureをどのように教えているだろう。ある米国の高校化学参考書では、Matter(物)はpure substanceとmixtureの二つに分けられるように教えている:

In this section, I discuss how all matter can be classified as either a pure substance or a mixture (see Figure 3-2)

(Chemistry For Dummies ®, 2nd Edition)

これは日本の高校化学での教育と変わらない。

二種類以上の違った物資がまじりあう現象が混合であり、混合の結果生じたものが混合物である.… 一種類の分子だけが集まってできている物質を純粋な物質という.自然界にある物質は混合物であることが多く、純粋な物質がそのまま存在することは少ない.(東京書籍 1972 新訂化学B)

結局、REACH/CLPのMixture、そしておそらくTSCAのそれの理解には「文脈」の理解が重要ということだ。

SDS 2017/06/01までの経過措置 混合物 分類 包装 表示(SDS) 猶予

2015年5月5日

CLPに基づく混合物分類に関する2017/06/01までの、上市及び表示済み混合物の為の経過措置はSDSにも適用される.

“A similar transitional arrangement is provided for mixtures. If mixtures have already been placed on the market before 1 June 2015 and classified, labelled and packaged according to DPD they do not need to be re-labelled or re-packaged according to CLP until 1 June 2017 and therefore their SDS do not need to be aligned with the CLP classification until 1 June 2017.”

同じような経過措置が混合物に対して採られる.もし混合物が2015年6月1日より前に上市されて、DPDに従って分類、ラベル表示、包装がなされている場合には、2017年6月1日まではCLPに従って再度ラベル表示又は再包装をする必要はない.したがって、そのSDSも2017年6月1日まではCLP分類に沿ったものである必要はない.

出典

解説

  • 同じような経過措置:上市済みかつ表示済み 物質用SDSについての2012/12/1までの経過措置.
  • DPD: Dangerous Preparation Directive 危険な調剤指令 Directive 1999/45/EC  ( ⇒ 統合版)
  • Mixture 混合物: 混合物(mixture)は、以前、調剤(preparation)と呼んでいたもの:

(14) The term ‘mixture’ as defined in this Regulation should have the same meaning as the term ‘preparation’ previously used in Community legislation. (CLP規則前文)

GHSによる術語の調和によりEUが米国の用法に合わせたものと思われる.このような術語の調和がGHSはほかの語でも見られる: dangerous → hazardous,  object → article

mixtureは、二つ以上の物質よりなる混合物または溶液と定義されているが(CLP規則第2章8)、その際物質(substance)の定義を合わせて理解しておくことが重要.

物質とは、天然に存在する、または、製造工程から得られる化学元素または化合物を意味し、その安定性を維持するために添加された物、及び、使用された製造工程に由来する不純物を含むものである.ただし、物質の安定性とその組成に影響を与えることなく分離できる溶媒を除いたもの(CLP規則第2章7).

このように混合物は単に複数の成分(constitutes)からなるものという意味ではないことに注意が必要.複数の成分からなっていても、天然に複数の成分からなるもの、あるいは、製造の結果として複数の成分となっているものは、mixture(混合物)とは呼ばず、たとえば、multiconstituent substance (多成分物質)と呼ぶ(ECHA(2012) Substance identity – Multiconstituent substances).

天然物からの抽出もまた、「物質」のmanufacturing (製造)である(CLP規則第2章14). しかし、「物質」の混合は製造とは呼ばず調合(調製,配合)(formulation)と呼ぶ.formulation やprocessingは、”use”の一形態である(CLP規則第2章25)―したがって、manufacturing processもまたuseの一形態である.

関連記事

CHESAR マニュアルの日本語訳をWindowsで読む

2015年2月21日
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Kindle for PC
2015年4月 出版社の都合でChesar のマニュアル翻訳本が絶版となります.そこで、購入いただいた方には、別の形でご提供する準備を進めています.近いうちにこのサイトでご案内します. 

CHESARのマニュアルの日本語訳を簡単にWindows (8.0, 8.1)で読めるようになりました。Amazonが、日本語のコンテンツをWindows上で読める Kindle for PC (日本語対応)をリリースしたからです。 Kindle for PC(日本語対応版)は、次のサイトから無償でダウンロードし、インストールすることができます:

 

http://www.amazon.co.jp/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=3078592246

図は、Kindle for PCで、Chesarマニュアルを表示してみた画面です。 Kindle for MacもAmazonはリリースしています。こちらは試していませんが、おそらくPCでと同じように読めるでしょう。

Chesarマニュアルの日本語翻訳版(Kindle版))は、Amazonのサイトで、”Chesar”を検索してみつければ購入できます。

CHESAR とは

Chemical Safety Assessment and Reporting tool 化学物質安全アセスメント及び報告ツールのことです。欧州化学物質庁(ECHA)がリリースしているコンピュータアプリケーションで、EUの化学品規制 REACH 規則で求められるリスク評価の実施、そして、当局に提出するその書類の作成、さらに、サプライチェーン上で化学品の受領者に渡さなければならない拡張SDSの暴露シナリオの作成を支援するツールです。

CHESARは次のページから無償でダウンロードし、インストールすることができます:

https://chesar.echa.europa.eu/

 

関連記事:

Chesar 2 マニュアル翻訳を改訂 2013-07-15

 

2015年6月1日は、EU化学品規制の節目 – CLP完全実施

2015年2月7日
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2015年6月1日は、EU化学品規制の節目です: 国連GHSに準拠したCLP規則 (Regulation 1272/2008)がほぼ完全に実施されます。

化学物質と混合物の分類・表示・包装に関するルール、特に分類ルールが、旧DSD/DPDの指令からCLP規則に置き換わることによって、これまで旧ルールに基づいて決定していた法令が修正・置換されるものがあります。旧法では、dangerous substances / preparations  危険な物質/調剤と呼んでいたものが、hazardous substances / mixtures  危険な物質/混合物と呼び方を変えるものもあります。分類と表示はGHSベースのCLP規則が基本となり、その分類に基づいた基準の包装や容器の使用が必要となるものがあります。分類の変更の影響は最小限度に抑えるよう努力されていますが、分類の変更によりこれまで規制対象になっていなかったものも規制対象となったり、規制のレベルが変更になったりするものも出てきますので注意が必要です。

変更又は廃止される例

1. 危険な物質および混合物の分類:  2015/06/01から危険物指令67/548/EEC危険な調剤指令1999/45/ECによる分類の実施がなくなります。これは、CLP規則条文60, 61条に基づきます。 

混合物の表示・SDSについては、既存の表示(SDS)がされているものについては、2017/6/1になるまでの猶予期間があります。詳しくは条文をご覧ください。したがって、旧表示や旧形式のSDSがEU市場で正規になくなるのは2017/06/01になります。

2. 危険な廃棄物の定義: EU廃棄物枠組み指令(Directive 2008/98/EC)の付属書IIIが、委員会規則No 1357/2014によってCLP基準への置換が施行されます。

3. 重大事故防止にかかわる危険物の定義: セべソ II 指令(Directive 96/82/EC)がセベソ III 指令(Directive 2012/18/EU)に同日置き換わります。 セベソ指令は、工場の重大事故防止、危険物貯蔵にかかわる法令です。この中の危険物の定義がCLP基準に置き換わります。

EUでは、これまでも統一した危険物の分類に基づいて、各種法令が整備されてきましたので、これ以外にも変更になるにものがある可能性が十分にあるので関係者は注意が必要です。

関連ページ

ECHA: 追加情報提出義務があるのに未対応の中間体登録者へ

2014年2月22日

http://www.echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/unresponsive-registrants-of-intermediates-obliged-to-give-more-information

ECHAは次のような注意情報を出した。

追加情報提出義務があるのに未対応の中間体登録者へ

 

ECHA/NA/14/06

ECHAは法的拘束力のあるレターを登録書類(dossier)にある不具合を訂正するようにとの要求に応じていない中間体物質登録者に送り始めている。 このレターを受け取った企業は一か月以内に登録内容を更新しなければ、ECHAによって加盟国の執行当局に通知され、その処理に委ねられることになる。

ヘルシンキ, 2014年2月14日―ECHAは中間体登録書をIT審査し、現在の状況を解析した後に、いろいろな方法で連絡を取ったが対応のない46の登録者の118の書類を特定した。 これらの登録書はREACH規則違反になる可能性がある。

ECHAはこの応答のない企業に対して規制措置を取り始めようとしている。 その措置により36条*レターを送付することになろう。そのレターではREACHの3及び17, 18条に規定されている中間体定義と厳しい管理条件に対して齟齬が残っている使用取扱いに対するトン数量情報を要求するものである。登録者には自分の書類を1か月以内に修正して完全登録書を提出するか、報告使用取扱いを見直すか、非中間体としてそれぞれのトン数量に応じた情報を提出するかしなければならない。企業が非中間体物質としてトン数量に応じた情報提出した場合には、法令順守検査が始まることになる。ECHAはその提出されたトン数量の情報を使って、非中間体物質の使用取扱いに対して必要な情報を設定することになる。

【解説】 36条は、登録した情報について登録者が情報をその物質の最後の製造若しくは輸入、使用の後少なくとも10年間維持することを要求するものであり、加盟国当局又はECHAの要求に対して速やかに情報提供義務のあることを定めた条項である。

もし情報の更新がレターで設定された期限までに提出されない場合には、ECHAはそれぞれの国の執行当局にそれに続く対応をとるように依頼することになろう。

ECHAがとるこの中間体に対するアクションの結果として、合計2000の書類がすでに更新されている。全体として、化学品使用取扱いの安全性を高め、欧州市場における公平な競争環境を作り上げるのに良い結果といえる。

企業をさらに支援して登録書の質を高めるために、書類品質支援ツール(Dossier Quality Assistant tool)が2月末にもリリースされる。 このバージョンのツールにより、中間体の書類中の使用取扱記述子(use descriptor)情報に関するチェックがうまくできるようになる。 さらに組み込まれた機能により、物質特定情報についてのチェックがやりやすくなるだろう。 この物質特定情報は、ECHAが審査するもう一つの分野である。

中間体登録書に関してこれまで取られたアクションとその結果の要約。 初期審査は約5500書類(ドシエ)について行われている:


書類

代表物質数

(Representing number of substances)

懸念される登録者
の数

中間体定義又は厳密な管理条件を満たさない、もしくは、満たしそうにない使用取扱いが含まれている。 修正を求める非公式レターを送付。

2 388

760

574

最終確認送付
(final reminder)

172

116

62

更新済み書類

1 980

706

450

完全登録に更新されたもの

97

72

58

書類(Dossier)は更新されたが、中間体登録のままのもの

1 883

680

432

さらに踏み込んだ規則上のアクションがいる書類

118

77

46

 

背景

REACHは厳密な管理条件下で製造され使用取扱いされている中間体であれば、中間体の性質について限られた少ない情報で登録することを認めていて、さらに、化学安全報告書の作成を求めていない。中間体と厳密な管理条件を満たさず、その物質のハザードとリスクの情報が登録書類に記載のない物質が中間体とされてしまうと、労働者又は消費者、環境は物質の曝露を受けて悪い影響を被る可能性がある。 このため、ECHAはこのタイプの書類の法令順守の検証に熱心であり、自動評価プロセスと手動評価プロセスを組み合わせて使用している。

Agenda 21 19章を読む - 2 –

2014年2月14日

この記事は、Agenda 21ページの続きです。今回は19章第1節を読み終えます。Agenda 21 19章第1節には19章全体の話題が提示され、話の展開が暗示されています。

前回も言いましたがAgenda 21の19章は工業化学品やバイオサイド等の化学品、そしてそれを使った物品(article ー成形品とも訳されている)に対する今日の化学規制の方向性を理解するのに重要です。そこでここではAgenda 21 19章を丁寧にゆっくりと読んで、わかりやすい訳をつけ、さらに、解説を何回かに分けて書くことにしています。

Agennda 21 19章の最初の二文では、21世紀の持続可能な発展、人の生活の向上というAgenda 21の全体の大きな課題のもとで、環境の観点から化学品をうまく管理すること(化学品健全管理)が必要であり、それについて19章で記載されていることが暗示されていました。

1. 翻訳

では前回の冒頭の2文に続き、第1節のすべてを訳すことにします。

Agenda 21 – Chapter 19

ENVIRONMENTALLY SOUND MANAGEMENT OF TOXIC CHEMICALS, INCLUDING PREVENTION OF ILLEGAL INTERNATIONAL TRAFFIC IN TOXIC AND DANGEROUS PRODUCTS

有害化学品の環境にとって健全な管理―有害で危険な製品の不正国際取引防止を含めて―

19.1. A substantial use of chemicals is essential to meet the social and economic goals of the world community and today’s best practice demonstrates that they can be used widely in a cost-effective manner and with a high degree of safety. However, a great deal remains to be done to ensure the environmentally sound management of toxic chemicals, within the principles of sustainable development and improved quality of life for humankind. Two of the major problems, particularly in developing countries, are (a) lack of sufficient scientific information for the assessment of risks entailed by the use of a great number of chemicals, and (b) lack of resources for assessment of chemicals for which data are at hand.

19.1 化学品の多用は世界の共同体の社会的経済的目的を達成するために不可欠です。今日、もっともうまくいっている事例によって、化学物質は費用効果のある方法で、そして、非常に安全な方法で広く使用できることが明らかになっています。しかしながら、持続可能な発展と人の生活の質の向上という理念のもとで、環境にとって有害な化学物質を健全に、確実に管理するためにはやらなければならないことがまだたくさんあります。大きな問題が二つあります。 特に発展途上国で問題です。 a) 一つは多種類の化学品を使用することによってもたらされるリスクを評価するための科学的な情報が十分でないということであり、b) 今一つはデータが手元にあっても化学品の評価をするための資源が足らないということです。

2. 二つの課題

課題が二つあるといっています:

a) 化学品の使用取扱に伴うリスクを評価するための科学情報の不足と b) データがあってもそれを評価するための資源の不足です。 それらが、発展途上国で顕著であるといっているわけです。

この段落の理解のポイントとして二つ挙げます:

  1. aでは、「化学品の科学的情報が足りない」と言っているのではなく、「化学品の使用取扱いによってもたらされるリスクを評価するための科学的情報が足りない」言っていることです。
  2. bでは、「資金が足りない」といっているのではなく、「資源が足りない」と言っているということです。

3. 情報不足―化学品の使用取扱いによってもたらされるリスクを評価するための科学的情報の不足

aでは、「化学品の使用取扱」による悪い影響がもたらされる可能性(リスク)がどんなものであるか理解するのに必要な情報が足りないと言っているのであって、単に化学品の情報が足りないと言っているのではないということです。

その情報とは、人や環境に及ぼす、化学品の使用取扱によって引き起こされるリスクを評価するために必要なものだというのです。

ある化学品が人や環境に悪い結果をもたらすのは単にその化学品の危険性(ハザード)によって決まるわけではなく、その化学品をどのように使うかで決まります。 たとえば、誰もが人にとって安全で有害でないと思っている水ですら、過剰な摂取により水中毒(water intoxication, water poisoning)と呼ばれる症状を引き起こします。東京マラソンの公式のサイトでランナーに水の摂取不足による熱中症とともに過剰摂取による水中毒に注意を呼び掛けています(http://www.tokyo42195.org/marathonman2013/healthcare_bn01.html)。

つまり、どんなものであれ、適切に取り扱わなければ危険である、リスクがあるということです。 後に具体的に述べられていますが、製造国では許可されていない使用取扱いが発展途上国で実施されていることについて言っています。つまり、特に発展途上国では 安全な使用取扱いの情報(リスクのある使用取扱い情報の裏返しですが)が不足しているということです。

無論、その化学品が持つ本質的な危険性(又は有害性)、ハザード情報もまた重要です。 その化学品が本質的に潜在的にどのような影響を与える可能性があるかによって、安全な使用取扱いの範囲が決まってくるわけですから。 このハザード情報についても後に具体的に述べられています。

4. 資源不足―化学品の使用取扱いによって引き起こされるリスクを評価するための資源の不足

bでもう一つ不足しているとしているのが、化学品の使用取扱リスクを評価するための資源です。 このことについてはAgenda 21 19章の後ろの方で詳しく述べられることになります。

ここで単語resourceの意味するものに注意が必要です。 これは「資源」のことで、「資金」に限りません。そう訳してしまうとこの後の文を理解できません。

もともとresource(資源)の意味は何でしょうか。 例えばoxford dictionaryでは次のように記載されています:

“(usually resources) a stock or supply of money, materials, staff, and other assets that can be drawn on by a person or organization in order to function effectively:local authorities complained that they lacked resources” http://www.oxforddictionaries.com/definition/english/resource?q=resource

つまり、「人や組織が効果的に機能を果たすために、あてにできるお金や材料、職員などであって、備えや補給品で後に役立つもの」というわけです。例文は、「地方当局は自分たちには使えるもの(資源)がないと不満を述べた」というわけです。

P.F. Drucker (Management: Tasks, Responsibilities, Practices. Haper Collins e-books, 第4章 Dimensions of Management, 1 Purpose and Mission, Paragraph 6)もこう言っています:

“The second task of management is to make work productive and the worker achieving. Business enterprise (or any other institution) has only one true resource: man.

「管理(management –経営と訳してもよい)の二番目の機能はその機構の作業の生産性を高め、そこで働く者が成就できるようにすることである。 企業(あるいは、いかなるほかの機構であれ)それが持つ真の資源は「人」だけである。

Agenda 21では、後で読むことになりますが、19.21 (c)では、Human resource development (人的資源開発–つまり人材の育成)の必要性を指摘しています。 化学品の良い管理(sound management)のためには、人が資源として重要で、あてにできる人材が不足していて、その育成が必要だといっているわけです。

次回は19.2で現在の課題について具体的に述べている内容を見てみます。

ECHA IUCLID報告書作成アプリの新バージョンをリリース

2014年2月7日

2014年1月31日 ECHAはIUCLID報告書作成アプリ(IUCLID Report Generator)の新バージョンをリリースした。

http://iuclid.eu/index.php?fuseaction=home.news&type=public&id=68

新らしくリリースしたIUCLID Report Generator (IUCLID報告書作成アプリ)によって、化学安全アセスメントと報告書作成ツールであるChesarによって生成される曝露アセスメント情報を対応するIUCLIDセクションに取り込むことができる。

この更新版によって、IUCLIDユーザは、Chesarを使用して曝露アセスメントデータを生成すれば、その情報をIUCLID(セクション3.7.1と3.7.2)に出力できる。これを使えば、 IUCLIDとChesarの二つのツールの間でデータを同期させて化学安全報告書全体を生成するのに必要な、様々な手順を踏みやすくなる。

更新された機能についてはリリースノートに記載されている。 本アプリ導入用の説明書(Installation manuals)は導入用パッケージに含まれており、そのパッケージはIUCLIDウェブサイトからダウンロードできる。

この IUCLID報告作成アプリは、REACHにおける化学安全報告書(CSR)の作成を支援し、従来のCSRプラグインに置き換わるものとなる。また、バイオサイド製品認可申請書用の製品特性要約(summary of product characeristics SPC)を申請者が作成するのにも役に立つ。

ECHAは現場で生成するバイオサイド活性物質に関する情報を要求

2014年2月6日

EUのバイオサイド製品規制(BPR)の範囲に入る、活性物質を生成するバイオサイド製品の上市と使用をしている企業対して、2014年3月31日までに情報提供を呼び掛けている(http://echa.europa.eu/documents/10162/17287015/appoval_active_substances_etter_in_situ_en.pdf)。

現場でバイオサイド活性物質を生成する物質をin-situ generated biocidal active substancesと呼んでいる(訳すと「現場生成バイオサイド活性物質」というところだろうか)。

その現場生成バイオサイド活性物質の例も上記資料付録 II に二群にわけて記載している。それぞれ一部を抜粋すると、

意図的に複数物質を反応させて活性物質を生成させるようなもの: 二酸化塩素を生成する亜塩素酸ナトリウムと塩酸の組み合わせ。

活性物質を、もととなる化学物質や周りにある資源から生成する機器: 大気中の酸素からオゾンを発生させるもの。

【Chesar 2 翻訳用語集】物品 article

2014年2月1日

【Chesar 2 翻訳用語集】 article 物品

2014.2.5 Biocide関連情報を追加
2014.2.7 Biocide関連情報をさらに追加
2014.2.26 リンクの一部、CLP, オレンジブックを修正。翻訳部分の一部、CLP序文の翻訳をハイライト

1. REACH規則/CLP規則/バイオサイド規則上の用語定義

articleは、REACH規則第3章9とCLP規則第2章9で次のような同じ定義がなされている:

“article: means an object which during production is given a special shape, surface or design which determines its function to a greater degree than does its chemical composition;”

訳すと、
物品(article)は、その外形表面、及び、意匠(デザイン)が製造の過程で決まる物であり、その機能が化学的組成よりも外形表面、及び、意匠によって決まるの物である。

「直訳」では正しく理解できるとは思えないのでここではもとの英文の構造をそのまま日本語にするのではなく、正しく理解されやすいように訳している。

REACH規則とCLP規則で、定義を一致させることについてCLP規則前文(Whereas)にわざわざ記載している(参照 注1)。

1.2 バイオサイド規則中の”article”

1.2.1 バイオサイド規則第3条定義第2項には次のようにある:

2. For the purposes of this Regulation, the definitions laid down in Article 3 of Regulation (EC) No 1907/2006 shall apply for the following terms:
(a) ‘substance’;
(b) ‘mixture’;
(c) ‘article’;
(d) ‘product and process-orientated research and development’;
(e) ‘scientific research and development’.

つまり、REACH規則(Regulation (EC) No 1907/2006 )とバイオサイド規則(Regulation (EC) No 528/2012) のarticleの定義は同じだというわけだ。

1.2.2 また、バイオサイド規則の前文には、

(l) ‘treated article’ means any substance, mixture or article which has been treated with, or intentionally incorporates, one or more biocidal products;

と記載されており、treated article(処理物品)とは、一つ以上のバイオサイド製品で処理されている、すなわち、意図的に組み込まれている、物質(substance)または混合物(mixture)、物品(article)のことというわけだ。 ここで「物品」は「物質」、「混合物」、「物品」の3つの形態に分けていることも注意したい。この三つの区別は、欧州の化学品規制(REACH, CLP, バイオサイド)に共通して概念上、実務上きわめて重要である。

1.2.3 一方、バイオサイドの処理物品(treated article)について、次のような説明も行われている:

Definition of “treated articles” :
— Substance, mixture or article, i.e., not only articles within the meaning of the REACH Regulation

つまり、処理物品は、REACH規制対象となるような物品だけでなく、物質、混合物である場合があるということだ(ECHA 2013 Control of treated articles in Boicidal Products Regulation, ECHA Biocides Stakesholders’ Day, 25 June 2013, p.3)

この記述と1.2.1 又は1.2.2 の記述とは、一見矛盾しているようにも思えるが、次のように考えてみたがどうだろう。

C01 Article
C02 .Substance
C03 ..Mixture

の階層的概念でありその境界にも違いがないことはREACH, CLP, バイオサイドで共通しているが、BPR treated articleの規制対象は、Articleの全階層すなわちC01(+C02+C03)であり、REACH articleの規制対象はC01の階層のみである。定義は違わないが規制対象が違うということだ。

2. 別の訳語

articleの訳語としては物品以外にも次の訳語も多く使われている: 成形品、成型品、アーティクル.

REACHやCLPを理解するのに役にたつ解説書籍・文書はたくさんあるが、訳語が必ずしも一貫していないので欧州の化学規制の初学者はこのことを頭の片隅に置いておく必要があろう。

3. 注

注1 CLP規則前文

CLP規則((EC) No 1272/2008) の前文(Whereas)の(12)には次のようにある:

(12) The terms and definitions used in this Regulation should be consistent with those set out in Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH) ( … ), with those set out in the rules governing transport and with the definitions specified at UN level in the GHS, in order to ensure maximum consistency in the application of chemicals legislation within the Community in the context of global trade. The hazard classes specified in the GHS should be set out in this Regulation for the same reason.

(12) この規則で使用される用語と定義は, 化学物質の登録と評価、認可、制限に関する2006年12月18日の欧州議会と欧州連合理事会の規則(EC) No 1907/2006 (REACH)で規定されている用語と定義、輸送を規制する規則で設定されている用語と定義、GHSにおいて国連レベルで決定されている定義で設定されているものと一致するものとする。 そうする目的は、世界貿易において、共同体内で化学品に関する規則を最大限一貫性をもって適用することである。 GHSで特定される危険有害性クラス同じ理由でこの規則で設定されるものとする。

したがって、CLP規則輸送を規制する規則GHSにおけるarticleの用語や定義は一致するということである。 ここで、輸送規則とは「国際連合経済社会理事会危険物輸送及び分類調和専門家委員会の勧告」(オレンジブック)をおおもととする国際的に調和されている輸送物の規則群のことである。 ただし、具体的には、輸送規則中articleとされるものが、CLP/REACHではarticleでない場合もあるようだ。

注2  訳語 成型品と成形品

日本語の「成形品」や「成型品」は、かならずしも、REACH/CLPのこのarticle (物品)の定義と一致しないので注意が必要である。

国際特許分類

たとえば、国際特許分類 IPC第8版日本語訳には「成形品」という言葉がたくさん出てくる: たとえばIPCコードのサブクラス B29K 、B29Cは、

「成形材料用の組成物;成形品の条件,形態,または状態」

「プラスチックの成形または接合;可塑状態の物質の成形一般;成形品の後処理,例.補修」

となっているが、対応する英語は、

Compositions for moulding materials; Condition, form or state of moulded material

SHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE, IN GENERAL; AFTER- TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING

である。 成形品に対応しているのは、”moulded material”, “shaped products”である。

ちなみに、B29C 34/02 には、articleの語が使われていて、その訳語には、「物品」が当てられている:

· of articles of definite length, i.e. discrete articles (WIPO IPC)

その公式の訳語は、

· 一定長の物品,すなわち.不連続物品,の圧縮成形 (特許庁 パテントマップガイダンス)

技術用語辞典

多くの技術用語辞書では「成形品」の語には、moulded (=molded) … の英語しか出てこない。たとえば、Weblioで検索すれば確認できる。

「成形品」の訳語をつかってもよいかもしれないが、読者に誤解のないように解説しておく必要があるだろう。 このmoldには、「成型品」の漢字を適用し、「成形品」と区別するとの見解もあるようだが、多くの文書で、「成形品」と「成型品」が使い分けられているとは思えないことが多い。

2013.12.17 ECHA バイオサイドの新しい手引き公開

2013年12月28日

2013/12/17 ECHAはバイオサイド(殺生物剤)に関する新しい手引き Guidance for Human Health Risk Assessment を公開した。

バイオサイドに関するガイダンスシリーズの第三巻パートBに位置づけられる。

人健康リスクアセスメントに関するバイオサイド活性物質とバイオサイド製品に対するハザードアセスメント(hazard assessment)、曝露アセスメント(exposure assessment)、そして、リスク特性記述(risk characterisation)を実施する方法に関する技術的アドバイスが記載されている。


訳語について

hazardは、危険性、有害性、危険有害性、ハザードなどとさまざまに訳し分けられている。 欧州化学品規制の文脈の上で訳しわける意味はほとんどない。 danger(ous)とhazard(ous)の両方の語がCLP規則上で使われているが、この両者CLP規則上で歴史的な意味以上の差があるわけではない。 参照: Dangerous と Hazardous

assessmentは、評価と訳されている場合もある。 ただ、risk assessmentとは定義の異なるrisk evaluationという言葉もあり、混同を避けるためにrisk assessmentをリスク評価とせずにリスクアセスメントとしている場合があり、このブログではできるだけassessmentにはアセスメントの訳語を当てている。

risk characterisation (= risk characterization ) は、リスク特性化、とか、リスク判定と訳されている場合が多い。 ただ、リスクの特性を明らかにする作業だけでなく、明らかにしたものを記述して、場合によれば、作成した文書まで含むこともあるので、このブログではリスク特性記述と訳している。