ECHA: 追加情報提出義務があるのに未対応の中間体登録者へ

http://www.echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/unresponsive-registrants-of-intermediates-obliged-to-give-more-information

ECHAは次のような注意情報を出した。

追加情報提出義務があるのに未対応の中間体登録者へ

 

ECHA/NA/14/06

ECHAは法的拘束力のあるレターを登録書類(dossier)にある不具合を訂正するようにとの要求に応じていない中間体物質登録者に送り始めている。 このレターを受け取った企業は一か月以内に登録内容を更新しなければ、ECHAによって加盟国の執行当局に通知され、その処理に委ねられることになる。

ヘルシンキ, 2014年2月14日―ECHAは中間体登録書をIT審査し、現在の状況を解析した後に、いろいろな方法で連絡を取ったが対応のない46の登録者の118の書類を特定した。 これらの登録書はREACH規則違反になる可能性がある。

ECHAはこの応答のない企業に対して規制措置を取り始めようとしている。 その措置により36条*レターを送付することになろう。そのレターではREACHの3及び17, 18条に規定されている中間体定義と厳しい管理条件に対して齟齬が残っている使用取扱いに対するトン数量情報を要求するものである。登録者には自分の書類を1か月以内に修正して完全登録書を提出するか、報告使用取扱いを見直すか、非中間体としてそれぞれのトン数量に応じた情報を提出するかしなければならない。企業が非中間体物質としてトン数量に応じた情報提出した場合には、法令順守検査が始まることになる。ECHAはその提出されたトン数量の情報を使って、非中間体物質の使用取扱いに対して必要な情報を設定することになる。

【解説】 36条は、登録した情報について登録者が情報をその物質の最後の製造若しくは輸入、使用の後少なくとも10年間維持することを要求するものであり、加盟国当局又はECHAの要求に対して速やかに情報提供義務のあることを定めた条項である。

もし情報の更新がレターで設定された期限までに提出されない場合には、ECHAはそれぞれの国の執行当局にそれに続く対応をとるように依頼することになろう。

ECHAがとるこの中間体に対するアクションの結果として、合計2000の書類がすでに更新されている。全体として、化学品使用取扱いの安全性を高め、欧州市場における公平な競争環境を作り上げるのに良い結果といえる。

企業をさらに支援して登録書の質を高めるために、書類品質支援ツール(Dossier Quality Assistant tool)が2月末にもリリースされる。 このバージョンのツールにより、中間体の書類中の使用取扱記述子(use descriptor)情報に関するチェックがうまくできるようになる。 さらに組み込まれた機能により、物質特定情報についてのチェックがやりやすくなるだろう。 この物質特定情報は、ECHAが審査するもう一つの分野である。

中間体登録書に関してこれまで取られたアクションとその結果の要約。 初期審査は約5500書類(ドシエ)について行われている:


書類

代表物質数

(Representing number of substances)

懸念される登録者
の数

中間体定義又は厳密な管理条件を満たさない、もしくは、満たしそうにない使用取扱いが含まれている。 修正を求める非公式レターを送付。

2 388

760

574

最終確認送付
(final reminder)

172

116

62

更新済み書類

1 980

706

450

完全登録に更新されたもの

97

72

58

書類(Dossier)は更新されたが、中間体登録のままのもの

1 883

680

432

さらに踏み込んだ規則上のアクションがいる書類

118

77

46

 

背景

REACHは厳密な管理条件下で製造され使用取扱いされている中間体であれば、中間体の性質について限られた少ない情報で登録することを認めていて、さらに、化学安全報告書の作成を求めていない。中間体と厳密な管理条件を満たさず、その物質のハザードとリスクの情報が登録書類に記載のない物質が中間体とされてしまうと、労働者又は消費者、環境は物質の曝露を受けて悪い影響を被る可能性がある。 このため、ECHAはこのタイプの書類の法令順守の検証に熱心であり、自動評価プロセスと手動評価プロセスを組み合わせて使用している。

ECHA IUCLID報告書作成アプリの新バージョンをリリース

2014年1月31日 ECHAはIUCLID報告書作成アプリ(IUCLID Report Generator)の新バージョンをリリースした。

http://iuclid.eu/index.php?fuseaction=home.news&type=public&id=68

新らしくリリースしたIUCLID Report Generator (IUCLID報告書作成アプリ)によって、化学安全アセスメントと報告書作成ツールであるChesarによって生成される曝露アセスメント情報を対応するIUCLIDセクションに取り込むことができる。

この更新版によって、IUCLIDユーザは、Chesarを使用して曝露アセスメントデータを生成すれば、その情報をIUCLID(セクション3.7.1と3.7.2)に出力できる。これを使えば、 IUCLIDとChesarの二つのツールの間でデータを同期させて化学安全報告書全体を生成するのに必要な、様々な手順を踏みやすくなる。

更新された機能についてはリリースノートに記載されている。 本アプリ導入用の説明書(Installation manuals)は導入用パッケージに含まれており、そのパッケージはIUCLIDウェブサイトからダウンロードできる。

この IUCLID報告作成アプリは、REACHにおける化学安全報告書(CSR)の作成を支援し、従来のCSRプラグインに置き換わるものとなる。また、バイオサイド製品認可申請書用の製品特性要約(summary of product characeristics SPC)を申請者が作成するのにも役に立つ。

【Chesar 2 翻訳用語集】物品 article

【Chesar 2 翻訳用語集】 article 物品

2014.2.5 Biocide関連情報を追加
2014.2.7 Biocide関連情報をさらに追加
2014.2.26 リンクの一部、CLP, オレンジブックを修正。翻訳部分の一部、CLP序文の翻訳をハイライト

1. REACH規則/CLP規則/バイオサイド規則上の用語定義

articleは、REACH規則第3章9とCLP規則第2章9で次のような同じ定義がなされている:

“article: means an object which during production is given a special shape, surface or design which determines its function to a greater degree than does its chemical composition;”

訳すと、
物品(article)は、その外形表面、及び、意匠(デザイン)が製造の過程で決まる物であり、その機能が化学的組成よりも外形表面、及び、意匠によって決まるの物である。

「直訳」では正しく理解できるとは思えないのでここではもとの英文の構造をそのまま日本語にするのではなく、正しく理解されやすいように訳している。

REACH規則とCLP規則で、定義を一致させることについてCLP規則前文(Whereas)にわざわざ記載している(参照 注1)。

1.2 バイオサイド規則中の”article”

1.2.1 バイオサイド規則第3条定義第2項には次のようにある:

2. For the purposes of this Regulation, the definitions laid down in Article 3 of Regulation (EC) No 1907/2006 shall apply for the following terms:
(a) ‘substance’;
(b) ‘mixture’;
(c) ‘article’;
(d) ‘product and process-orientated research and development’;
(e) ‘scientific research and development’.

つまり、REACH規則(Regulation (EC) No 1907/2006 )とバイオサイド規則(Regulation (EC) No 528/2012) のarticleの定義は同じだというわけだ。

1.2.2 また、バイオサイド規則の前文には、

(l) ‘treated article’ means any substance, mixture or article which has been treated with, or intentionally incorporates, one or more biocidal products;

と記載されており、treated article(処理物品)とは、一つ以上のバイオサイド製品で処理されている、すなわち、意図的に組み込まれている、物質(substance)または混合物(mixture)、物品(article)のことというわけだ。 ここで「物品」は「物質」、「混合物」、「物品」の3つの形態に分けていることも注意したい。この三つの区別は、欧州の化学品規制(REACH, CLP, バイオサイド)に共通して概念上、実務上きわめて重要である。

1.2.3 一方、バイオサイドの処理物品(treated article)について、次のような説明も行われている:

Definition of “treated articles” :
— Substance, mixture or article, i.e., not only articles within the meaning of the REACH Regulation

つまり、処理物品は、REACH規制対象となるような物品だけでなく、物質、混合物である場合があるということだ(ECHA 2013 Control of treated articles in Boicidal Products Regulation, ECHA Biocides Stakesholders’ Day, 25 June 2013, p.3)

この記述と1.2.1 又は1.2.2 の記述とは、一見矛盾しているようにも思えるが、次のように考えてみたがどうだろう。

C01 Article
C02 .Substance
C03 ..Mixture

の階層的概念でありその境界にも違いがないことはREACH, CLP, バイオサイドで共通しているが、BPR treated articleの規制対象は、Articleの全階層すなわちC01(+C02+C03)であり、REACH articleの規制対象はC01の階層のみである。定義は違わないが規制対象が違うということだ。

2. 別の訳語

articleの訳語としては物品以外にも次の訳語も多く使われている: 成形品、成型品、アーティクル.

REACHやCLPを理解するのに役にたつ解説書籍・文書はたくさんあるが、訳語が必ずしも一貫していないので欧州の化学規制の初学者はこのことを頭の片隅に置いておく必要があろう。

3. 注

注1 CLP規則前文

CLP規則((EC) No 1272/2008) の前文(Whereas)の(12)には次のようにある:

(12) The terms and definitions used in this Regulation should be consistent with those set out in Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament and of the Council of 18 December 2006 concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH) ( … ), with those set out in the rules governing transport and with the definitions specified at UN level in the GHS, in order to ensure maximum consistency in the application of chemicals legislation within the Community in the context of global trade. The hazard classes specified in the GHS should be set out in this Regulation for the same reason.

(12) この規則で使用される用語と定義は, 化学物質の登録と評価、認可、制限に関する2006年12月18日の欧州議会と欧州連合理事会の規則(EC) No 1907/2006 (REACH)で規定されている用語と定義、輸送を規制する規則で設定されている用語と定義、GHSにおいて国連レベルで決定されている定義で設定されているものと一致するものとする。 そうする目的は、世界貿易において、共同体内で化学品に関する規則を最大限一貫性をもって適用することである。 GHSで特定される危険有害性クラス同じ理由でこの規則で設定されるものとする。

したがって、CLP規則輸送を規制する規則GHSにおけるarticleの用語や定義は一致するということである。 ここで、輸送規則とは「国際連合経済社会理事会危険物輸送及び分類調和専門家委員会の勧告」(オレンジブック)をおおもととする国際的に調和されている輸送物の規則群のことである。 ただし、具体的には、輸送規則中articleとされるものが、CLP/REACHではarticleでない場合もあるようだ。

注2  訳語 成型品と成形品

日本語の「成形品」や「成型品」は、かならずしも、REACH/CLPのこのarticle (物品)の定義と一致しないので注意が必要である。

国際特許分類

たとえば、国際特許分類 IPC第8版日本語訳には「成形品」という言葉がたくさん出てくる: たとえばIPCコードのサブクラス B29K 、B29Cは、

「成形材料用の組成物;成形品の条件,形態,または状態」

「プラスチックの成形または接合;可塑状態の物質の成形一般;成形品の後処理,例.補修」

となっているが、対応する英語は、

Compositions for moulding materials; Condition, form or state of moulded material

SHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE, IN GENERAL; AFTER- TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING

である。 成形品に対応しているのは、”moulded material”, “shaped products”である。

ちなみに、B29C 34/02 には、articleの語が使われていて、その訳語には、「物品」が当てられている:

· of articles of definite length, i.e. discrete articles (WIPO IPC)

その公式の訳語は、

· 一定長の物品,すなわち.不連続物品,の圧縮成形 (特許庁 パテントマップガイダンス)

技術用語辞典

多くの技術用語辞書では「成形品」の語には、moulded (=molded) … の英語しか出てこない。たとえば、Weblioで検索すれば確認できる。

「成形品」の訳語をつかってもよいかもしれないが、読者に誤解のないように解説しておく必要があるだろう。 このmoldには、「成型品」の漢字を適用し、「成形品」と区別するとの見解もあるようだが、多くの文書で、「成形品」と「成型品」が使い分けられているとは思えないことが多い。

川下ユーザはREACH SDSをどう使うか

川下ユーザはREACH SDSをどう使うか

2013年8月にリリースされたECHAのNews Letter (August Issue 4) の記事What to do when receiving an extended safety data sheet? (拡張安全データシートを受け取った時何をすべきか) はある欧州川下使用取扱企業(DU)の具体的事例が記載されていて興味深い.―その企業Borealis(ボレアリス)社は,自社でSDSを受け取った時に内部で使用している”eSDS Evaluation tool” (excel book)を自身のウェッブサイトで公開している.

ボレアリス社は,世界に約5300人の従業員を抱え,2012年総売上高 75億ユーロ(1兆円弱 1円=132ユーロとして)のヨーロッパの石油化学大手企業である.フェノールなどの基礎化学品を製造供給していて,REACHにおける物質製造業者(Manufacturer)であるが,ポリオレフィン製品として自動車部品,食品などの包装材等も供給しており,REACHにおける川下使用取扱企業(Downstream User, DU)としての役割ももっている.

ボレアリス社は,2012年には,約 1 000 のSDSを川上業者から受け取っており,そのSDSの約10%が拡張SDSであったという.―その拡張SDS(Extended Safety Data Sheet, eSDS)の伝達とそれに基づく安全な使用取扱の実施は,REACHで導入された新たな義務である.eSDSは,EUがREACHの目標とする(そして,1992年のAgenda 21の目標とする)化学品のより安全な使用取扱(safety use of chemicals)を実現する強力なツールである.eSDSはGHSに準拠するEU SDS (REACH規則で規定されている)に,安全な使用取扱方法を具体的に記載した曝露シナリオ(Exposure Scenario)の添付ををもとめるものである.

つまり,ボレアリス社は,昨年100のeSDSを受け取ったということになる.

REACH規則はDUに,化学物質をそのESにそって使用取扱(Use)うことを求めており,ボレアリス社のその取組をこの記事で紹介してしている.―そのために使用しているExcel bookを自身のウェッブサイトで公開していて,だれでもダウンロードできる.

DUが行う受領eSDSに基づく作業

  • ステップ 1:  供給を受けている化学物質について自分自身の行う使用取扱(use)が,供給者の安全データシートでカバーされているかを確認する.
  • ステップ 2:  SDSに添付された曝露シナリオに記載されている労働作業条件(運転条件)を守っているかを確認する.
  • ステップ 3:  SDSに添付された曝露シナリオに記載されている リスク管理措置(Risk Management Measures, リスク管理方策)にあっているかを調べる.

適切で無い時には,REACHコンプライアンスのために新たな作業が発生する.このため,上流のこの曝露シナリオがDUにとって適切に記載されていることが,ビジネス上重要な意味を持ってくる.

求められる化学品供給者のSDSの内容の充実

そのため,欧州企業への化学品の供給業者にとってSDSの内容の充実がこれまで以上に求められることになってきている.このSDS,特に,それに添付されるESの内容について,欧州では化学品の供給者と使用取扱者が当局と協力してプロジェクトを組んでいることは別ページで紹介したとおりである.

CLP/REACH要件とタイミング

CLP/REACH要件とタイミング

改訂: 2015-02-22

タイミングの解釈 一部修正。SDSにも表示猶予期間が適用される。

timeline 2015-02-22

2013年8月(2013年6月1日~2015年5月31日)の 分類が係るEUのSDS/ラベル要件

2015/6/1から、完全にCLPに準拠して分類を実施しなければなりません。本記載はそれ以前の要件を記載していますのでご注意ください(2015/02/07) ただし、既に上市し表示しているものについては2年間の猶予があります。この「表示」猶予にはSDSも含まれています。

  • 物質SDS分類記載要件:  REACH規則に基づいて,物質のSDSには,GHSに基づく新分類とDSD/DPDに基づく分類の両者の記載が求められている.
  • 混合物SDS分類記載要件:  REACH規則に基づいて,混合物のSDSにはDSD/DPDに基づく新分類が必須であり,GHSに基づく新分類を追加することも認められる(GHS分類があっても,DSD/DPD分類の記載は免除されない).
  • 物質ラベル及び包装要件:  CLP規則に基づいて,物質のラベルには, GHS分類に基づく表示が求められる.
  • 混合物ラベル及び包装要件:  CLP規則に基づいて,物質のラベルには, GHS分類にもどつく表示又はDSD/DPD分類に基づく表示のいずれかひとつが求められる.ただし,REACH規則に基づいて,GHS分類に基づく表示を行っても,SDSにはDSD/DPD基づく分類の記載が必要である.
  • SDSには物質及び混合物の成分の分類の表示も求められることにも注意が必要である(これは旧法を踏襲している).

【作業手順】

現時点での作業手順としてみれば次のように整理できる:

  • 物質については,GHSとDSDに基づく分類をして,ラベルにはGHSラベルを,SDSには両方を記載する.
  • 混合物については,次の2つのやり方があって選ぶことができる:
    • GHSとDSD/DPDに基づく分類をして,ラベルには,GHSラベルを,SDSには両方を記載するか,
    • DSD/DPDに基づく分類だけをして,ラベルには,DSD/DPDラベルを,SDSにもDSD/DPD分類を記載する―要するに従来のやり方を踏襲する–

もちろん,ここで,GHS分類と記載しているのは,CLP規則にはじめて実装されたGHSに基づく欧州分類である.

注意:  CLP(Regulation (EC) No 1272/2008 of the European Parliament and of the Council of 16 December 2008)の条項に基づいて,REACH規則のSDSにおける分類要件は2008年12月31日に次のように修正されている:

“TITLE IV INFORMATION IN THE SUPPLY CHAIN

Article 31 Requirements for safety data sheets

10.  Where substances are classified in accordance with Regulation (EC) No 1272/2008 (注: CLP規則) during the period from its entry into force until 1 December 2010, that classification may be added in the safety data sheet together with the classification in accordance with   Directives 67/548/EEC (注: 危険物指令 DSD) .

From 1 December 2010 until 1 June 2015, the safety data sheets for substancesshall contain the classification according to both Directive 67/548/EEC  (注: 危険物指令 DSD) and Regulation (EC) No 1272/2008 (注: CLP規則).

Where mixtures are classified in accordance with Regulation (EC) No 1272/2008 (注: CLP規則) during the period from its entry into force until 1 June 2015, that classification may be added in the safety data sheet, together with the classification in accordance with 1999/45/EC  (注: 危険調剤令 DPD).However, until 1 June 2015where substances or mixtures are both classified and labelled in accordance with Regulation (EC) No 1272/2008 (注: CLP規則)that classification shall be provided in the safety data sheet, together with the classification in accordance with Directives 67/548/EEC (注: 危険物指令 DSD)  and 1999/45/EC  (注: 危険調剤令 DPD) respectively, for the substance, the mixture and its constituents.”

(参照: http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CELEX:32008R1272R(02):EN:NOT) 最新のConsolidated versions で見ることをおすすめします.

補足

2013/09/05 図の一部修正.現時点で,CLP分類(GHSに基づく分類)の記載がSDSに求められるのは,物質SDSと,GHSに基づくラベル及び包装を採用した混合物に関するSDSである.  そのような混合物の場合, SDSにGHSに基づく分類の記載も必要になる.

2015/02/22 図の一部修正. 分類再表示のための2年の猶予期間(Article 61(4)第二パラグラフ) 「既に表示の物質」の物質についての2年の猶予期間がSDSについても適用される。

Article 61(4) 第二パラグラフ

“By way of derogation from the second subparagraph of Article 62 of this Regulation, mixtures classified, labelled and packaged in accordance with Directive 1999/45/EC and already placed on the market before 1 June 2015 are not required to be relabelled and repackaged in accordance with this Regulation until 1 June 2017.” (CLP原文は、次のECHAのページも参照してください:
http://echa.europa.eu/web/guest/regulations/clp/legislation)

2013年7月17日 ECHA CSR/ES強化の為のロードマップ発表

ECHA CSR/ES強化の為のロードマップ発表
曝露シナリオ(ES)は欧州における化学品の安全な使用取扱(use)を向上させる重要なツールである。 ESはREACH規則に基づいて,プロセスの一部である化学物質安全アセスメントの実施と作成の途中で作成される。ECHAと複数のステークホルダの団体は2013-2018の期間中に曝露シナリオの内容と使用を向上させるための計画を立てている.

すべてのステークホルダが誓約憲章(commitment charter)に署名して、その取り組みへの協力の約束することを推奨している。この署名は,そのステークホルダが供給網(supply chain)内で化学品の安全な使用取扱の条件に関する正確で明瞭な情報を作成し伝達することが重要であることを認識したことを意味し、このロードマップで示されたアクションの開発と実施を支援することも約束したことを意味するものもある.

アクション1:  ステークホルダの間での共通の理解の深化

CSRとコミュニケーション用ESの情報の目的について、ステークホルダの間で共通の理解を実現すること

アクション2: 化学安全アセスメント用の情報の提供

川下使用取扱者の使用取扱をアセスメントできるように、川下使用取扱者から登録者に提供すべき情報の特定

アクションをとる分野 3: ITツールと標準化

安全な使用取扱に関する一貫性のある情報を効率的に生成しコミュニケーションを容易にするITツールの開発

アクションをとる分野 4: 配合者への支援 — formulatorは調合者とも訳されている.

配合者の製品を安全に使用取扱う条件を、配合者が単一物質の情報を統合して作るプロセスを設定する.

アクションとる分野 5: 最終使用取扱者の支援

安全のためのアドバイスを絞り込んで提供するために、化学品の産業最終使用取扱と業務使用取扱にそれぞれ特有の必要性を解析する。

【解説】

産業最終使用取扱と業務最終使用取扱

REACHにおける化学物質の安全アセスメント(安全評価)においては、使用取扱(use)は、大きく、産業使用取扱(industrial uses)、業務使用取扱(professional uses)、及び、消費者使用取扱(consumer users)に分けられている。 professional usesは、人により「専門家使用取扱」と訳している場合がある。 業務使用取扱は業務用途と考えて良い(ただし、RAECHの文脈では産業用途とは区別する)。

REACHはEU市場(厳密に言えばEEA)で物質が生まれて(=製造/輸入)から、消滅する(=廃棄/他の物に変わる)までの、まさに、物質の生涯の全過程(=全ライフサイクル段階)での化学品の包括的な安全を追求するために、そのアセスメントを求めるものである。

このライフサイクル段階は、物質の使用取扱(use)の段階―先に上げたように、産業/業務/消費者使用取扱段階―の他に、製造段階、配合段階(formulation life-cycle stage)、物品取扱段階(service life stage)、廃棄段階に分けてしかも漏らすことなく(包括的に)安全アセスメントを求めている。 SDSへの添付が求められるコミュニケーション用のESでは問題となるのは,物質の使用取扱段階(及び廃棄段階)である.

関連サイト

ECHA 曝露シナリオ交換ネットワーク   ENES

 

関連記事

Chesar 2 マニュアル翻訳を改訂

Cheasr 2 のマニュアル翻訳を改訂しました.すでにご購入の方は,無料でアップデートできます.

今回の翻訳の改訂により,欧州化学物質庁がリリースしているChesar 2 User Manualsの最新版(2013/07/15現在)に完全に対応したものとなりました.

Chesar すなわち,Chemical Safety Assessment and Reporting tool (化学物質安全アセスメント及び報告ツール)は,欧州化学物質庁(ECHA)が公式にリリースしている,欧州の化学物質管理に係わる規則 REACH が化学物質の製造者と使用取扱者に要求している化学物質の安全アセスメントの実施とその報告書の作成を支援するツールです.

REACHの略称はその規則の次の名称に由来します:

REGULATION (EC) No 1907/2006 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE
COUNCIL of 18 December 2006  concerning the Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals (REACH), establishing a European Chemicals Agency, amending Directive 1999/45/EC and repealing Council Regulation (EEC) No 793/93 and Commission Regulation (EC) No 1488/94 as well as Council Directive 76/769/EEC and Commission Directives 91/155/EEC, 93/67/EEC, 93/105/EC and 2000/21/EC (Text with EEA relevance) (その原文は,EUの法の公式ウェブサイトであるEU-Lexから得られます.)

この規則のタイトルは次のことを表しています:

  1. REACHの語は化学物質の登録(Registration),評価(Evaluation),認可(Authorisation),制限(Restriction)の略語.
  2. 欧州共同体(EU)の専門機関の一つであるEuropean Chemicals Agency (ECHA, 欧州化学物質庁)がその担当機関.
  3. 指令1999/45/EC (いわゆるDPD 危険調剤指令)を修正し,SDS指令(91/155/EEC指令とその修正指令2000/21/EC)等を廃止する(置き換わる)物であることを示しています.
  4. この規則が欧州経済領域(EEA)に適用されるということ.つまり,EU加盟国以外に,アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの3ヵ国にも適用される,

REACH規則の要件(整合性要件を含む)に則った,CSA/CSRとSDS曝露シナリオ(ES)の実施と作成を支援するChesar

REACH規則は,物質の登録時に物質毎にEEAに上市する物質の年間量に応じて決められた情報を決められた書式でECHAに提出することを求めています.その中には,決められた方法での化学安全アセスメントの実施に基づいて,それを記録した報告書(CSR)が含まれています.このCSRの作成の主要な部分を支援することがChesarの主要な役割の一つとなっています.

また,REACH規則はサプライチェーン(供給網)上の物質や混合物の使用取扱者への伝達が義務付けらているSDS(安全データシート)の要件も大きく改めており,特に,一定の要件の物質については,その物質の安全な使用取扱条件を記載した曝露シナリオを添付することを求めています.このSDSに添付すべき曝露シナリオの作成を支援することもChesarの主要な役割の一つとなっています.

ECHAに提出すべきCSRと,供給網中で伝達すべきESは,整合性がとれたものであることを規則は求めており,登録書作成の必須ツールであるIUCLIDとともにChesarを使用することによってこの要求を満たすことができます.ChesarはIUCLIDと違って化学安全アセスメントの実施とCSRやESの作成において使用が義務付けられたツールではありませんが,この整合性の要件を満たすためにはChesarを使用する方が効率的なものとなるでしょう.

序論

Chesar 2 user manual  Part 0

第一部 物質とCSAの処理

Chesar 2 user manual Part 1

第二部 使用取扱の記載

Chesar 2 user manual Part 2

第三部 暴露アセスメント

Chesar 2 user manual Part 3

第五部暴露シナリオ (2.2)

Chesar 2 user manual Part 5

第六部 ライブラリ

Chesar 2 user manual Part 6

第七部ユーザー管理

Chesar 2 user manual Part 7

Chesar 2 マニュアル翻訳のリリース

Chesar 2 のマニュアルの翻訳 Kindle本としてリリース

2013/07/15 改訂版の翻訳をリリースしました.これにより,Cheasrユーザマニュアルの最新版に対応しました.

序論

Chesar 2 user manual  Part 0

第一部 物質とCSAの処理

Chesar 2 user manual Part 1

第二部 使用取扱の記載

Chesar 2 user manual Part 2

第三部 暴露アセスメント

Chesar 2 user manual Part 3

第五部暴露シナリオ (2.2)

Chesar 2 user manual Part 5

第六部 ライブラリ

Chesar 2 user manual Part 6

第七部ユーザー管理

Chesar 2 user manual Part 7

閲覧方法

このKindle 本は、次の電子書籍端末、又は、タブレット/スマートフォン用のKindle無料アプリで閲覧できます.

Kindle端末

無料Kindleアプリ

Kindle無料アプリダウンロード
アンドロイドスマートフォン、iPhone や アンドロイド・タブレット, iPad用のKindleアプリが上から入手出来ます。
Kindle Paperwhite, Kindle Fire HD, Kindle for Android, Kindle for iPhoneは、Amazonの登録商標です。

欧州業界団体SPERC ライブラ Chesarファイルリリリース開始へ

待望のChesar 2用のSPERCライブラリファイルが欧州業界団体からのリリースが始まった.

2013年4月8日時点でリリースを確認しているのは次の業界団体

A.I.S.E 欧州石鹸洗剤工業連合会

http://www.aise.eu/reach/?page=exposureass_sub4

Cosmetics Europe 欧州化粧品工業会

https://www.cosmeticseurope.eu/safety-and-science-cosmetics-europe/reach-and-chemicals/use-and-exposure-information.html

EFCC 欧州の建設用化学品業界団体

http://bauchemie.vci.de/wiki/SPERC_UseR_CC/Seiten/Content.aspx

FEICA  欧州の接着剤と封止剤の業界団体

http://www.feica.eu/ehs-sustainability/reach/feica-use-descriptors

各業界の状況は欧州化学工業連盟 (Cefic)の次のウェブ頁 のOverview table of associations activities (Excel) で随時要約公開されている:

http://www.cefic.org/Industry-support/Implementing-reach/Guidances-and-Tools1/

【解説】

そのほかの団体からも公開される予定のようだ.

この結果, Chesar 2 により, より現実的な曝露アセスメントの実施が容易となり, REACHの当局(ECHA)に提出が義務付けられてるCSR用曝露シナリオ, 及び, 供給網(supply chain)に流すことが義務付けられているSDS(拡張SDS)用曝露シナリオの作成の効率が格段にアップすることになろう.

どのような曝露シナリオが作成できるかはChesar 2.2をダウンロードし, 次の頁でECHAが公表しているChesar 2によるCSR実例を試してみることにより容易に理解できる.

http://echa.europa.eu/web/guest/support/practical-examples-of-chemical-safety-reports

【関連頁】

Stoffenmanger 5 の結果をChesar 2に取り込める

ECHAによると, Stoffenmanger 5で実施した曝露量推定結果をChesar 2用に掃き出したファイルをChesar 2.2に取り込むことができる(次頁参照).

http://chesar.echa.europa.eu/web/chesar/view-article/-/journal_content/56_INSTANCE_M6zz/title/chesar-2-2-can-import-the-assessment-files-created-with-stoffenmanager-5-0-%C2%AE

確認したところ, 取り込みはChesar 2.2画面のライフサイクルツリーで寄与シナリオをクリックする必要がある(確かにマニュアルにはそう書いてある)(図1参照).

図 1 外部曝露量推定ツールの結果の取り込み

how to use stoffenmanager_2

ただし, 外部曝露アセスメントStoffenmanager 5をクリックした時に表れるimportメニューはアクティブにならない(次図参照).

図 2 外部ツールをクリックして現れるメニューでは取り込めない

how to use stoffenmanager

 

Stoffenmanger上では5つのステップで処理する. そのうち第1ステップをキャプチャしたものが図3である.PROCが選択できることに注目. Stoffenmanager 4.5にはなかった機能である.これで格段にREACH上の処理がしやすくなった.

図 3 Stoffenmanager上でPROCの選択

stoffenmanager

【関連頁】