ECHA CSR/ES強化の為のロードマップ発表
曝露シナリオ(ES)は欧州における化学品の安全な使用取扱(use)を向上させる重要なツールである。 ESはREACH規則に基づいて,プロセスの一部である化学物質安全アセスメントの実施と作成の途中で作成される。ECHAと複数のステークホルダの団体は2013-2018の期間中に曝露シナリオの内容と使用を向上させるための計画を立てている.
すべてのステークホルダが誓約憲章(commitment charter)に署名して、その取り組みへの協力の約束することを推奨している。この署名は,そのステークホルダが供給網(supply chain)内で化学品の安全な使用取扱の条件に関する正確で明瞭な情報を作成し伝達することが重要であることを認識したことを意味し、このロードマップで示されたアクションの開発と実施を支援することも約束したことを意味するものもある.
アクション1: ステークホルダの間での共通の理解の深化
CSRとコミュニケーション用ESの情報の目的について、ステークホルダの間で共通の理解を実現すること
アクション2: 化学安全アセスメント用の情報の提供
川下使用取扱者の使用取扱をアセスメントできるように、川下使用取扱者から登録者に提供すべき情報の特定
アクションをとる分野 3: ITツールと標準化
安全な使用取扱に関する一貫性のある情報を効率的に生成しコミュニケーションを容易にするITツールの開発
アクションをとる分野 4: 配合者への支援 — formulatorは調合者とも訳されている.
配合者の製品を安全に使用取扱う条件を、配合者が単一物質の情報を統合して作るプロセスを設定する.
アクションとる分野 5: 最終使用取扱者の支援
安全のためのアドバイスを絞り込んで提供するために、化学品の産業最終使用取扱と業務使用取扱にそれぞれ特有の必要性を解析する。
【解説】
産業最終使用取扱と業務最終使用取扱
REACHにおける化学物質の安全アセスメント(安全評価)においては、使用取扱(use)は、大きく、産業使用取扱(industrial uses)、業務使用取扱(professional uses)、及び、消費者使用取扱(consumer users)に分けられている。 professional usesは、人により「専門家使用取扱」と訳している場合がある。 業務使用取扱は業務用途と考えて良い(ただし、RAECHの文脈では産業用途とは区別する)。
REACHはEU市場(厳密に言えばEEA)で物質が生まれて(=製造/輸入)から、消滅する(=廃棄/他の物に変わる)までの、まさに、物質の生涯の全過程(=全ライフサイクル段階)での化学品の包括的な安全を追求するために、そのアセスメントを求めるものである。
このライフサイクル段階は、物質の使用取扱(use)の段階―先に上げたように、産業/業務/消費者使用取扱段階―の他に、製造段階、配合段階(formulation life-cycle stage)、物品取扱段階(service life stage)、廃棄段階に分けてしかも漏らすことなく(包括的に)安全アセスメントを求めている。 SDSへの添付が求められるコミュニケーション用のESでは問題となるのは,物質の使用取扱段階(及び廃棄段階)である.
関連サイト
ECHA 曝露シナリオ交換ネットワーク ENES
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