フレームワーク

frameworkは、frame+workであることは英語をちょっと習ったことのあるものなら誰でも知っているだろう。ところが、フレームワークとは枠組であると理解して終えていないだろうか? それでは、ビジネス用語のframeworkも、コンピュータプログラムのframeworkも本当のイメージをつかめないようだ。

英語のframeと日本語(漢語)の枠は全くその起源が違うようだ。

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REACH上、物品、混合物は物質でない

EU域内での製造される物質(Substance)、又は、EU域内に輸入される物質は、REACH規則に基づいいて、製造業者、輸入業者ごとに登録が多くの場合求められる。

しかし、REACH上は、Article(物品。しばしば、成形品とも訳されている)はMixture(混合物)とともに、Substance(物質)でないので、登録の対象とならない。登録対象が何かの理解には、この「物質」、及び、「物品」の意味をREACH/CLPフレームワークとして理解する必要がある。

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REACHの’Use’

REACHにおけるUseについてあらためて考える。REACH規則はUseを次のように定義している。

Article 3 Definitions
For the purposes of this Regualations:

24. use: means any processing, formulation, consumption, storage, keeping, treatment, filling into containers, transfer from one container to another, mixing, production of an article or any other utilisation;

 

REACHに出会う前、Use [名詞]は、「用途」と理解していた。旧法DSD/DPD frameworkではUseを用途と訳して何の違和感もなかった。しかし、REACHのUseの定義(上記)を始めて見たとき、この定義はちょっと奇妙だと感じた。REACHのUseの定義文の中に含まれる、貯蔵・保存(storage, keeping)、移し替え(transfer from one container to another)を用途とはどう考えても言えないからだ。もしそうだとしたら、ガソリンの用途として、ガソリンスタンドで貯蔵することやガソリンスタンドで車にガソリンを入れることも含まれるということになってしまう。ひょっとして英語Useは日本語「用途」とニュアンスに差があるのかとも思っていたが、そうでもなさそうだ。通常のUseのニュアンスとこの定義は違っていると欧州の人も感じていたんだと次のCEPEの文書中の文からわかったからだ:

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物質の定義と分類 -REACH/CLPの場合 2a

物質の定義と分類―REACH/CLPの場合 1」では、REACH/CLPフレームワークでの物質の定義を見た。ここでは、同フレームワークでの混合物の定義を見てみる。

混合物の定義

混合物の定義はすっきりしたものだ。 しかし注意すべき点がある。 

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物質の定義と分類 -REACH/CLPの場合 1

2006年公布のEU REACH規制の物質の定義は 、一部の専門家からは日本の科学教育で習ってきたのと違うと驚きをもって迎え入れられた。REACH規則の分野で著名なある人物の著書(2008年)では、「『物質』と言う言葉は我々が中学生から習っている科学用語であるが、実は日本と海外では概念がかなり異なる」と言ってしまっている。しかし、実は、それは日欧の差ではなく、 化学品規制と一般化学というフレームワークの違いによるところが大きいことは別の記事「REACHにおける塩酸:混合物でない」で論じた。 また、一般化学における物質の概念についても「物質の分類 一般化学」で述べた。REACH/CLPフレームワークにおける混合物の概念については次の記事で述べる予定だ。

REACH規則の物質の定義は、実は、CLPのそれと全くの同文である。そして、その物質の定義は、REACH/CLPフレームワークの前身であるDSD/DPDフレームワークにおける定義と大差なく、そしてまた、GHSにおけるそれとも、そしてJIS SDSのそれともほとんどかわりない。

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