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Agenda 21

Agenda 21 アジェンダ21とは

アジェンダ21原文

Agenda 21の19章は今日の化学品規制の方向性を理解するのに重要です。 Agenda 21は1992年6月にブラジルのリオデジャネイロで開催された国際会議で合意された21世紀に向けた行動計画です。基本理念として持続可能な発展 (Sustainable Development*) を掲げ、各国及び国際機関が実行すべき具体的行動計画を示しています。

* Sustainable Development は、「持続可能な開発」または「持続可能な成長」と訳されることも多い。

化学品に関してはその19章で規定されており、持続可能な発展と化学品との関係、将来の課題が示されています。日本や欧州を含め各国がこれに基づいた多数の施策を実施しています。 GHSと呼ばれる「化学品の分類および表示に関する世界調和システム」(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)もまたこれに基づいて国連で策定され、二年に一回改訂されています(http://www.unece.org/trans/danger/publi/ghs/ghs_welcome_e.html)。日本の化審法の2011年改正や労働安全衛生法等に見られるGHSの導入、欧州のREACH/CLP施行もまたそれを源流としています。

このページおよびその後に続くページでは、そのAgenda 21の第19章の原文を丁寧にゆっくりと読んでみることにしました。 世の中に流布している日本語訳は翻訳調で理解しにくいためです。 以下は、Agenda 21の第19章の原文と自分なりの訳と解説です。

冒頭の文も重要: Agendaが合意された化学品を取り巻く現状認識

まず、19章のタイトルです。

Agenda 21 – Chapter 19

ENVIRONMENTALLY SOUND MANAGEMENT OF TOXIC CHEMICALS, INCLUDING PREVENTION OF ILLEGAL INTERNATIONAL TRAFFIC IN TOXIC AND DANGEROUS PRODUCTS

有害化学品の環境にとって健全な管理―有害で危険な製品の不正国際取引防止を含めて―

解説 sound management (of chemicals)

sound management は、一般にこの文脈では、もちろん音(サウンド)の管理のことではありません。 「化学品の健全な管理」などと訳されています。「適正な管理」と訳している例もあります[*1]。

[*1]  環境省ではenvironmentally sound mangementのことを「環境上適正な管理」の訳をあてています(環境省 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/ryakugo/ 2014年2月11日閲覧)

この化学品管理の分野をはなれても、sound managementは、たとえば、堅実経営や健全経営のことをsound managementと訳したりするようです。 good management とといってもよいのかもしれません。いずれにしろ、好ましい経営や望ましい管理のことであることがわかります。 この”sound management of chemicals” (化学品健全管理)の語は今日の化学品管理において、sustainable development (持続可能な発展)と並んで重要なキーワードで、しばしば使われている語です。ネットで検索するとあちこちの国際機関や国の機関が使用しているのがわかります。

続いて、本文に入ります。

19.1. A substantial use of chemicals is essential to meet the social and economic goals of the world community and today’s best practice demonstrates that they can be used widely in a cost-effective manner and with a high degree of safety. However, a great deal remains to be done to ensure the environmentally sound management of toxic chemicals, within the principles of sustainable development and improved quality of life for humankind. Two of the major problems, particularly in developing countries, are (a) lack of sufficient scientific information for the assessment of risks entailed by the use of a great number of chemicals, and (b) lack of resources for assessment of chemicals for which data are at hand.

19.1 化学品の多用は世界の共同体の社会的経済的目的を達成するために不可欠です。今日、もっともうまくいっている事例によって、化学物質は費用効果のある方法で、そして、非常に安全な方法で広く使用できることが明らかになっています。しかしながら、持続可能な発展と人の生活の質の向上という理念のもとで、環境にとって有害な化学物質を健全に、確実に管理するためにはやらなければならないことがまだたくさんあります。大きな問題が二つあります。 特に発展途上国で問題です。 a) 一つは多種類の化学品を使用することによってもたらされるリスクを評価するための科学的な情報が十分でないということであり、b) 今一つはデータが手元にあっても化学品の評価をするための資源が足らないということです。

解説

この段落のトピックセンテンスは、無論、Howeverから始まる一文です。 つまり、有害な化学品を、環境にとって健全に管理すること、しかもそれを、持続的発展と人類の生活の質の向上の理念のもとで成し遂げるにはやらなければならないことがたくさんあるということです。 Agenda 21は、21世紀の課題と解決策を記載した世界的に合意された行動計画ですから、まず、化学分野での課題が何かを一括りにしてこのトピックセンテンスで語っています。 この後の文、そして、こののちの段落すべて、つまり、19章全体で何を、具体的に述べているかということを一文で端的に表しています。

しかし、その直前に一文で記載されている内容、すなわち、化学品を多用することは人類の社会的経済的目的を達成するには不可欠だという内容も重要です。日本や先進国の人々はすでにだれしも化学品の恩恵に浴していますが、経済的発展の遅れた国にはまだまだその恩恵に浴していない人々が大勢います。 その人たちの生活の向上には化学品の普及が必要なことはだれの目にも明らかでしょう。 そしてそれに続いて、その一文安全に経済的に化学品を多用することが可能な事例があるといっています。

ここで、第一文の出だしのa substantial use of chemicalsの英語について触れておきます。 ”a substantial use of chemicals”を「本質的な化学品の使用」との訳を見かけますが、これでは訳が分かりません。 a substantial use of chemicals is essential … However, a great deal remains to be done … と言っているのですから、肯定的な面もあるが、「however, やらなければらないことがたくさんある」ととる必要があります。

そもそも、substantial とは、第一義的には、大規模とか、多いとかいう意味です。 Websterの辞書を見てみると、次のように記載されています:

sub·stan·tial adjective \səb-ˈstan(t)-shəl\
: large in amount, size, or number

: strongly made

of food : enough to satisfy hunger

(http://www.merriam-webster.com/dictionary/substantial 2014年2月10日閲覧)

英和辞典ではなく、ぜひ、英英辞典で確認してください。 他の、英英辞典でも同じように記載されています。

つい最近みつけた、Linguee というサイトは英語を理解するうえで非常に助けになります。 ここで、substantial useを調べると次のような事例が出てきます:

The manufacturing of turbine blades and nacelle covers involves substantial use of such materials, including glass fabrics.
これは、ター ビンのブレードやナセルのカバーの製造に ガラス繊維などの複合材料を多用するた めです。

(http://www.linguee.jp/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E-%E8%8B%B1%E8%AA%9E/search?source=auto&query=substantial+use 2014年2月10日閲覧)

このように、「化学品をたくさん使うことは必要であるし、安全に経済的に使い得る」というのが、Agenda 21 19章の前提、すなわち、国際合意の前提になっています。 このことを理解したうえで残りの部分を読む必要があります。そうすればこの19章には対策として当然の帰結が記載されていることがわかります。

たった一文にすぎませんが、これを無視すると、Agenda 21は化学品に対してなんと悲観的なことを言っているのだろうということになります。 Agenda 21は21世紀の課題とその対策について記載しているのですから、現在得られている成果をあれこれと謳いあげることが本意ではないので、全体の中で、化学品の光の部分についてはわずかしか記載されていません。したがって、この一文を落としてしまうと化学品はどんなに悪いものかということにもなりかねません。残念ながらAgenda 21 19章を語るときこの一文について解説されないことが多いのが残念です。

欧州の1996年施行の化学品規制であるREACH規制では、その規制の目的として、1) 環境と人への安全 2) 欧州化学産業の発展 3) 動物愛護に基づく動物試験の削減をうたっています。つまり、化学品は必要であるが、人と環境と動物についても健全なものでなければならないと考えていると理解できます。 Agenda 21の主要なキーワードである「持続的発展」が化学産業にも適用されているわけです。

今日はここまでにしておきます。 次は近いうちに、19章第1項の第二文からスタートすることにします。

2014.02.22 この続きは「Agenda 21 19章を読む -2-」のページで見ることができます。

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