未だにEU向けのSDSについてCLP SDSと言う言い方をする人がいる。CLP SDSと言う言い方はもう古い。歴史的な意味しかない。
DSD/DPD SDS
CLP SDSでないSDSと言うものが、やはりREACH準拠であっても存在したことが過去にある。それは、DSD/DPD SDSである。DSDとはDangerous Substance Directive であり、DPDとはDangerous Preparation Directiveである。
REACH/CLP施行
REACH規則は2006年公布、2007年施行であり、CLP規則はそれに遅れ、2008年公布、2009年施行である。ではCLP規則が公布されてすらいなかったとき化学物質の分類、包装、表示はどうだったのか?
分類基準
SDSのサプライチェーン上での発行はいわゆるSDS指令を廃止したREACH規則で要求されている。SDSには対象の物質もしくは混合物 mixture(古くは調剤 preparationと呼んでいた)の危険有害性分類を分類基準に則って実施した結果の記載を求めていた。これはREACH施行前から今でも変わらずそうである。
その分類基準は古くはDSD/DPDのAnnexに記載されていた。今はそれは廃止され、CLPのAnnex Iに置き換わった。
経過措置 併存した二つのタイプのSDS
REACH/CLP frameworkは、旧DSD/DPD framework から2007年のREACH施行に始まって段階的にゆっくりと移行が行われ、2018年5月末日を持って完了した。
その段階的移行はさまざまな点で実施されたが、その一つがDSD/DPDの分類・包装・ラベルの基準の(CPLと呼ばれた)からCLPのそれへの移行である。そして、一時、いずれで実施してもよい期間があった。
世の中にはDSD/DPDに基づく分類をしたREACH準拠のSDSとCLPに基づく分類をしたREACH準拠のSDSが併存して発行されていたわけだ。そのとき、SDSの発行者は例えばSDS作成サービスを利用するときにCLP SDSで発注するか、DSD/DPD SDSで発注するか選択する必要があり、両者を区別する言葉が必要だったわけだ。
今やREACH準拠のSDSを作ると言うことは、すなわち、CLP記載の分類基準に基づくことであり、CLPのSDSと言う言い方は歴史的な意味しかなくなったわけだ。