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EU BPRのTreated Articleは「処理された成形品」ではない

2019年2月17日
EU Biocidal Product Regulation (BPR、殺生物剤製品規則) の treated Article の概念は 処理された「成形品」ではない。この訳では誤解を与える。処理物品もしくは処理品と訳すべきだろう。

BPR規則定義

‘treated article’ means any substance, mixture or article which has been treated with, or intentionally incorporates, one or more biocidal products
「処理 Article は、… 物質、混合物、または、Articleである」と言っている。つまり、「成形品」に限らないのだ。 一般用語として 物品 Article が意味するものには、砂糖やガソリンのような物質 Substance もあれば、洗剤や接着剤のような混合物 Mixture もあれば、ソファーやズボンのようなそれ以外の物品 Article もある。その意味では、 “Article”という英語と、それに対応する語として一般的な辞書に載っている「物品」という日本語の意味は少なくともそれに関しては同じである。にもかかわらず、ごく普通の、誰にでもわかる、Article に対する訳語「物品」ではなく、なぜ、わざわざわかりにくい、辞書にない「成形品」と言う訳語を使うのか合理的理由はない。想像するに、Articleの訳語として成形品が使われた理由は、そうされたのはREACHがクローズアップされたときで、その時に狭いスコープでしかものを考えなかったであろう。確かにREACHなどの意味に限定すればArticleの語で表されるものを「成形品」と呼ぶのがふさわしいのかもしれない。しかし、その狭量な見方のつけがここで回ってきているわけだ。
  
REACHやCLP、そして、TSCAにおける「Article 物品」が指す範囲が、一般的な「Article 物品」が指す範囲と若干異なるのである。しかし、このArticle(物品)の概念は、基本的な意味において大差ないのである。だから、「REACH/CLPにおいては、混合物は物質でない」とECHAが言っているように「REACH/CLPにおいては、物質や混合物は物品でない」と限定する方が一貫性を持った説明と訳ができる。
 
REACH/CLPが対象とするいわゆる工業化学製品とBPRが対象とするいわゆる殺生物剤(biocides)を通じて使える広いフレームワークであるためには、Articleの概念(idea)は共通していなければならない。但し、少々の偏差や多様性(deviation、variation)があっても良い。REACH/CLPのArticle(物品)の概念には、物質/混合物の概念と同様に偏差や多様性があるだけと捉えると共通のフレームワークでREACH/CLP/BPRを捉えることができる。
 
そしてEUのその意図を正確に伝える翻訳をするには、Articleの訳語は「成形品」ではなく、REACH/CLP/BPRそしておそらく、GHS、TSCAを通じて「物品」でなければならない。翻訳されるべきなのは字面ではなくフレームワークつまり、そのrules、ideas、beliefs とその目的とスコープと(科学である以上)一貫性である。

用語

殺生物剤 (Biocides): 例えば、一般には水道水の塩素消毒剤として知られている次亜塩素酸ナトリウム、あるいは、タンスで使う防虫剤。
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