Chesar 2はもはやIUCLID Plug-inでない。

Chesar 2のシステム上の最大の変更点は、IUCLID Plug-inでなくWeb applicationだということだ。

Chesar 1 では、IUCLID Plug-inであった。このことは、Chesarを動かすためには、IUCLIDを起動する必要があったということだ。 このため、大きなメモリを必要としていたし、トラブルも多かった。

Chesar 2では、Web applicationとなった。このことは、Chesarを動かすために、IUCLID起動は不要で、使用メモリも小さくなる可能性があり、また、トラブルも小さくなる可能性を示している。

IUCLIDから物性情報、ハザード情報を持ってくることには変更はないが、もともと、IUCLID本体とChesarの間の関係は蜜ではなかったのであるからこれが正しい選択だろう。 ファイル経由でIUCLIDとChesar 2の間で情報を交換すれば十分なわけだ。

Webアプリケーションであるとはいえ、インターネットに接続して使うわけではない。 手元にブラウザさえあれば使える、スタンドアローンとして使えるということだ。

ECHA CHESAR V2をリリース

欧州化学物質庁(ECHA)は 2012年6月20日、CHESAR 2.0のリリースをアナウンスして、REACH登録者と登録の可能性のある企業にこれを使用することを強く推奨した。

このアナウンスはECHAの次のページで見ることができる:
http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/167a4d45-6180-4239-805d-6b33f1980c09

CHESARとは化学物質が安全に使用できているか評価し、安全に使用する条件は何かを特定するためにECHAが開発している無償のソフトウェアでWindows上で稼働する(Linuxでも稼働するとしているがテストはしていないようだ)。CHESARはChemical Safety Assessment and Reporting Toolの頭辞語である。

すでに第一バージョンが広く使われている。今回の改訂(と追加で予定されている二段階のマイナーバージョンアップ)で、REACHではじめて導入された要件である商流中での化学物質製品の提供者が受領者にあわせて提供する義務のある安全データシート(SDS)に添付する必要のある曝露シナリオの作成を支援する機能が本格的に実装される。

曝露シナリオはREACHが要求する化学物質の安全な使用を確立するための評価手法―化学安全評価の主要なアウトプットの一つである。

暴露シナリオはREACHでは化学物質を安全に使うための条件を記載した書類であり、受領者は、別途自分で安全評価をしない限り、それに則って受領物質を使用取扱う義務がある。

ECETOC TRA 3では一部のPROCで曝露予測値が増大 【労働者曝露予測】

ECETOC が公表した新しいバージョンのTRA 3は、多くの部分で改良が施され、より現実的な推算が可能になった。 2010年の登録でのリスク評価での使用を反映したものとなっているようだ。 ただ、Tier 1との位置づけは変わらない。

ECETOCの言う階層的手法とは、第1階層(Tier 1)において専門家でない人がスクリーニング的にそれに適した難易度の低い(しかし科学性を失わない)ツールを使って処理をしようとするものである。スクリーニングの結果より詳細なリスク評価が必要となった物質の使用取扱(Use)については、より多くのパラメータ情報が必要とされ、実施により高い専門性も必要とされる高い階層のツール(Tier 2)を使おうとするものである。

労働者曝露予測ツールは完全に統合版に統合され、単独版はリリースされないようである。 しかし、計算そのものが労働者と環境と消費者では独立して行われることに変わりはない。

労働者曝露予測ツールの吸入曝露については一般換気条件(general ventilation)の導入、LEV効率の見直し、一部のPROPの吸入曝露初期見積値(表)の変更が行われた。この結果、予測精度は上がったのであろうと思いたいが、一部の吸入曝露予測値は2倍となってしまった。

労働者曝露予測ツールの経皮曝露については, LEVの設定が適用/不適用を選択できるようになり、また、保護手袋による曝露量削減を計算に含めることが可能となった。ただし一部のPROCでは経皮曝露予測値が20~40倍にも跳ね上がる場合(PROC 8a LEVあり、PROC 10 LEVあり, PROC 5 Professional LEVあり(40倍) など)のものもあり注意が必要であろう。 RAECH IR-CSA Guidance R-14 のTable R 14-9のECETOC TRA事例を TRA 3で実施してみるとその一端がよくわかるので実施してみるのもよいであろう。

また、高温下での作業の曝露予測のために、高い蒸気圧を入力可能となり、予測の範囲は拡大した。

欧州リスク評価委員会 四フタレートを「制限」に加えるのは正当でないと結論

2012.6.15 ECHAはそのウェッブサイトで、欧州リスク評価委員会(RAC)が、物品(Articles)中のDEHP, DBP, BBP, DIBPをREACH 制限 に加えることは、正当でないとの結論が総意として採用したと発表。

これら4つのフタレートについてその複合影響(combined effects)の指摘ついて現在のデータからは認められないとの結論が得られたようである。すでに採られている「認可」制度へのこれらの組み込みが有効であって、使用量が減る傾向にあるとの社会経済分析の結果も公表されている。ただ、認可要件を厳しくする可能性が指摘されている。

社会経済分析委員会(SEAC)が遅くとも本年12月には提案の制限へのこれら4物質への組み込みの提案は正当でなく、採用できないとする結論を60日間のパブリックコメントに付すとも公表している。

【解説】

制限と認可

制限リストに入ると製造やアーティクルへの組み込み、あるいは、指定された用途への使用が禁止される場合があった。

これらの物質はすでに「認可リスト」に入っており、物品への組み込みは規制を受けており、また、物品中への使用の届け出は求められていた。 消費者はリスクの高い使用を避けることは全体として可能である。

一方、この認可制度により、2015/02/21のいわゆる”Sunset Date”以後の製造使用取扱を実施したいDEHP等の製造取扱業者にはその物質のその使用取扱について化学物質安全評価(リスク評価)を実施し、認可申請書を期限(2013/8/21)までにすることが求められている。 この物質は認可を認められた使用取扱(一定の審査期間中の場合を含む)についてのみ、2015/02/21のいわゆる”Sunset Date”以後, この物質の化学品としての製造、物品への組み込み、使用取扱が限定的に許可される。