ECHAはChesar 2.0のリリース計画を公表しています。
以下は、ECHAが2012年4月26日に開催したウェブセミナーの情報に基づきます。
このリリース計画における各リリースでは、新しい機能が追加されるだけ。アプリケーションは安定した状態を保つとしています。
リリース履歴
Chesar 2 の基本理念はChesar 1 と同じ。 ただし、以下を改善:
- 初期アセスメント(Initial assessment)の改善(refinement)をより支援
- アセスメントの効率アップ(たとえばアセスメントのコピー&貼り付け)とCSA要素を物質間での再利用性を改善
- アセスメントの手作業の軽減と暴露量見積ツールにより関連付けた段階的組み込み(ECETOC TRA 消費者用、第一段階の Stoffenmanager)
- インストールが容易に
Chesar 2.0 6月末。 その機能:
- IUCLID 5.4データベースに基づいて化学安全アセスメント(CSAs)が実施できる
- 化学安全報告書(CSR)の9, 10章を生成できる
→ CSR生成ユニット(IUCLID plug in)の更新: 2012年第3四半期。その機能:
Chesar 2.1 → 2012秋口: その機能:
- ECETOCによって開発される消費者暴露量見積ツール(TRA消費者用)
- 標準文言ライブラリ(CEFICのEScomプロジェクトとの協力作業の進展により)
Chesar 2.2 → 2012後半から2013始め: その機能:
- 商流での情報伝達用の暴露シナリオの生成
【解説】
REACHの要件のひとつ: 暴露シナリオを、化学安全報告書の一部として当局に提出、また、eSDSの一部として顧客に提供
当局へ化学安全報告書提出
REACH法は、一定の要件を満たす欧州の化学物質の製造及び輸入業者に、その化学物質が安全に使用されていること証明する報告書(化学安全報 告書 CSR)を欧州化学物質庁(ECHA)に提出を求めています。 一定の要件を満たす物質については、CSRにその製品がかかわる商流全体で、その製品が安全に使うための条件を記載した暴露シナリオとよばれる書類を含めることを求めています。暴露シナリオには、その製品にかかわる労働者と消費者と環境を保護するのに必要な製品の使用取扱い方法が記載されていなければなりません。
商流での情報伝達(顧客へのSDS)
一方、暴露シナリオはSDS(日本でいうMSDS)に添付して、自分の顧客、またその顧客、結局その製品がかかわる商流全体にその製品の労働者、消費者、環境に安全な使用取扱い方法が間違いなく伝わるようにすることを求めています。このSDSを拡張SDS(eSDS)と呼んでいます。
化学物質の使用の包括的な安全という国際目標–Agenda 21 19章
これによって、化学物質の誕生(製造)から廃棄までのすべての段階で、化学物質の安全な使用取扱いを、間違いなく実現することを狙っているのがREACHであり、これはAgenda 21 19章の欧州における具体化と位置付けられます。
CHESARは、化学安全アセスメントとその報告書作成支援ツール
暴露シナリオは、化学安全アセスメントの実施して初めて作成できます。この化学安全アセスメントは産業界には負担が大きいため、当局は、産業界が化学安全アセスメントを実施するのを支援するために財政的、人的、情報技術リソースを割いています。ECHAが提供する情報技術のひとつが、化学安全アセスメントとその報告書作成支援ツール(CHESAR)です。
欧州化学戦略
これをひとつのてことして、欧州の化学界は、Agenda 21のねらいである持続可能な発展(Sustainable Development)の化学での具体化であるその19章の目標むかって、国際的に先頭にたち国際化学業界のイニシアチブを取ろうとしていることが垣間見えます。