RiskOfDerm 日本語版Excel 2010で稼働

RiskOfDerm 日本語版Excel 2010で稼働

「RISKOFDERMのエクセルツールがうまく稼動しない」との報告をうけた。Excelスプレッドシートでは、しばしばバージョンアップや環境の違いでマクロが正常に稼動しない場合がみられることが知られている。

方法

そこで、いくつかのバージョンとプラットフォームの組み合わせ、すなわち、改訂バージョン203, 2007, 2010; 言語バージョン日本語、英語; OSバージョン Windows XP, Windows 7の組み合わせの環境の一部で、RiskOfDerm Toolkit (excel)の稼動をテストした。 RISKOFDERMのToolkit page 1が表示されるまでの起動プロセスを追うことで、その稼働テストとした。

価値はあるが、極簡単な、上に記載したテストしか実施していない。 RISKOFDERM Excelが本当にその推奨環境で使用したときと同等の利用ができることをテストしたのではないことを読者は踏まえてこの文書を読んでいただきたい。日本の環境にこのツールを十分に、あるいは、部分的に適用できるか否かの評価のための調査はより慎重に、多面的、かつ、本格的に実施される必要があろう。

結果

1.    日本語Windows XP 日本語Excel 2007.

本プログラムはExcelマクロで書かれているので、Excelの「マクロの設定画面」で「すべてのマクロを有効」にしてToolkit.xlsを開いた。しかし、スプレッドシートが一端開くものの、すぐに閉じてしまった。

2.    日本語Windows XP 日本語Excel 2003

同様にExcelの「マクロの設定画面」で「すべてのマクロを有効」にしてToolkit.xlsを開いた。 しかし、Excelがフリーズしてしまった。

3.    英語 Windows 7 (64bits) 英語Excel 2010

同様にExcelの「マクロの設定画面」で「すべてのマクロを有効」にしてToolkit.xlsを開いた。 Toolkit.xlsは正常に開く(図1)が次のエラーが表示された:

「Microsoft Visual Basic for Applications ダイアログボックス」で、

「Compile error in hidden module: PrmaryFeatures.
This error commonly occurs when code is imcompatible with the version, platform, or architecture of this application. …」

4.    日本語 Windows XP 日本語 Excel 2010

同様にExcelの「マクロの設定画面」で「すべてのマクロを有効」にしてToolkit.xlsを開いた。正常にこのスプレッドシートが開き、Toolkit page 1画面(図1)が開いた。

RiskOFDerm Toolkit page 1
図1 RiskofDerm Toolkit Page 1

考察

欧州のEurofinsで開発されている労働者の経皮曝露量の推定ツールであるRISKOFDERMは、REACHのための重要なリソースの一つである。こういったツールはインターネットの普及とともに簡単に日本からでも入手できるようになった。これは、欧州側の好意であるとともに、また、おそらく欧州の深い国際戦略にも根ざしているのであろう。

これらのツールが日本から簡単に入手できるとはいえ、日本において本格的に利用することができると考えるのは甘い。こういったツールとその普及推進のための体制は欧州の環境に適合して開発・整備されているのであって、それが、日本の環境に適合して開発・整備されているわけではないからである。ここで「環境」と言っているのは、労働環境の実態にとどまらず、欧州のコンピュータのリソースや人的リソースの実態、化学品の使用実態、そして、法的要請などのことである。

一方、RISKOFDERMの開発プラットフォームになっているExcelは今や誰にでも、無論、欧州でも日本でも、なじみのあるアプリケーションであり、多くのこういったツールで利用されている。 しかし、Excelマクロはバージョン(改訂バージョンおよび言語バージョン)やプラットフォーム(OSの種類:Windows XP, VISTA, 7等、場合によっては32bits, 64bits)により稼働しないケースも少なくなく、RISKOFDERMもその例外ではない。

欧州域内の言語バージョンについてはEurofinsでおそらく、曝露評価の専門家とITの専門家が協力して、事前に試験し、あるいは、障害が報告された時には対応をするのであろうが、日本語バージョンについてそれを欧州に期待することはできない。日本の環境でRISKOFDERMを使うのは日本の関係者自身の問題である。

この文書では、RISKOFDERMを日本において利用する際に起こりる可能性のある障害の一つであるこの言語バージョンを含むバージョンの問題について少々調査した結果を報告した。少なくとも、日本版Windows XPと日本版Excel2010の組み合わせで、RISKOFDERMのToolkit.xlsのtoolkit page 1の表示が可能であり、この組み合わせであればRISKOFDERMの利用が可能である可能性を示した。

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