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ChemSaferブログへようこそ

2011年12月31日

このブログは、化学品の安全を守るために必要な情報、特に、欧州のREACH/CLPの情報を提供することを目的としています。

免責: このChemSaferブログサイトでは、細心の注意のもと、可能な限り的確な情報をタイミングよく提供することを心がけていますが、必ずしも常に最新かつ完全に正確な情報であるとは限りません。読者が記事に基づいて実施される行動については、すべて自己責任のもと行ってください。また、各記事は、予告なしに修正・削除する場合があります。すべての問題やトラブルについて、このブログの著者は、責任を負いかねますので、予めご了承くださいますよう宜しくお願い申し上げます。

​アジェンダ 21  四半世紀

2017年6月5日

ちょうど四半世紀前

ちょうど四半世紀前の1992年6月3日から7日、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連主催の最初の地球サミットでは、183カ国の参加の下、化学物質の安全―環境保全を含む―の課題とそれへの対策が、その宣言 agenda 21 ―21世紀計画―の19章として盛り込まれました。

バブル崩壊と環境基本法

1992年というと金満日本―バブルの崩壊がすでに始まってはいたものの、人々にはその自覚はなく、経済もすぐには盛り返すだろうと考えていという時代です。1990年に株価が暴落し、翌1991年には地価が暴落しました(朝日クロニクル20世紀)。一方、その頃、環境基本法が1993年11月12日に成立しました。

アジェンダ21 19章 冒頭 ― 要約

アジェンダ 21 第19章のタイトルは、 “Environmentally Sound Management of Toxic Chemicals, Including Prevention of Illegal International Traffic in Toxic & Dangerous Products” です(国連 1992)。

その冒頭のパラグラフは次のように言っています。
19.1 A substantial use of chemicals is essential to meet the social and economic goals of the world community and today’s best practice demonstrates that they can be used widely in a cost-effective manner and with a high degree of safety. However, a great deal remains to be done to ensure the environmentally sound management of toxic chemicals, within the principles of sustainable development and improved quality of life for humankind. Two of the major problems, particularly in developing countries, are (a) lack of sufficient scientific information for the assessment of risks entailed by the use of a great number of chemicals, and (b) lack of resources for assessment of chemicals for which data are at hand.

これは、19章の要約といってよい。agenda 21は英文の典型的な構造をとっています。

世界の社会的経済的目標に不可欠: 化学品の大量の使用

この文頭の A substantial use of chemicals についての外務省と環境庁監修の仮訳は、「化学品の実質的使用」ですがこれでは意味不明です。 実際のところ、この意味は、「化学品の大量の使用」のことです。 大量と言っても過剰でなく十分な量です。実際、化学物質の恩恵を受けない貧困な人々は地球上にはあまたいることを誰も否定できません。蚊によって媒介される病気、いわゆる日本脳炎の蔓延を防ぐために広く日本でも使用されたDDTは、日本では現在製造・使用禁止ですが、アフリカ諸国等では現在でも、マラリア防止のために使用され、奨励さえされているという、一見矛盾した現実を踏まえなければなりません。Agenda 21は実は国際的な貧困対策も大きなテーマでした。

RandamHose EEdictにおける筆頭の説明は、substantial は、”of ample or considerable amount, quantity, size, etc” (RandamHouse EEdict) 筆頭です。
「化学品を大量に使用することは、世界の共同体の社会的経済的目標を満たすのに不可欠であり、コスト効率の良い方法で、高い安全性の下で広く使用できることが最良の実践により証明されている。」

安全に化学物質が使用されている最良の実践例 Best Practice もあるわけです。多くは、先進国でそれが制度的にも実際的にも問題を含みつつも実現しており、発展途上国がキャッチアップできるようにする必要があるわけです。そして、そのために、日本もまた先進国の一員として、政府関係者も化学業界関係者もお金と人材と物資と情報等々を、それらの国のためにも提供しているわけです。中国などは、制度的には特にEUの規則を導入しており―現実にそれが適用されているかは別の問題としてありますが―急速にキャッチアップを図っています。これには、おそらく、EUが多くのものを、自身の戦略をもって提供しているという背景もあるでしょう。

原理として謳われているのが、「持続的開発と人の生活の質の向上」 sustainable development and improved quality of life for humankind. です。持続的発展とか開発とか、サステイナビリティなどという言葉をよく見かけるようになったのはこれを前後してではないでしょうか。

次の一文で、二つの解決されるべき、主要な問題がある、特に発展途上国でと言っています。(a) 多種類の化学物質を使用するのに伴うリスクを評価するために必要な科学的情報が欠けている。(b) 手元にデータがある化学物質を評価する”resources”が欠けている。

課題: resources  「する」の欠落

ここでいう、resources とはなんでしょう。何が欠けているのでしょう。 この “resource”の訳語としてまず思い浮かぶのは、おそらく誰しも「資源」ですが、資源というと、鉱物資源しか思い浮かべないことを懸念したか、より大きな予算を得るためか、金満日本の世相を反映してか「資金」と、外務省と環境庁監修の仮訳ではなっています。しかし、この意味は、簡単に言えば「人・金・物」です。資金も必要ですが、人的資源も、物的資源も必要だというわけです。

resource という言葉を、英語辞書、英英辞典では次のように説明しています;
Resource とは、”a source of supply, support, or aid, esp. one that can be readily drawn upon when needed” (RandamHouse EEdict)、供給、支援、援助の源泉、特に、必要な時に簡単に引き出せるもの。

また、”A stock or supply of money, material, staff, and other assets that can be drawn on by a person or organization in order to function effectively” (Oxford Living dictionaries https://en.oxforddictionaries.com/definition/resource) 人や組織が効果的に機能するために、引き出すことができる、資金、物資、人員、そして、その他のプラスになるものを、準備しておくこと、または、供給すること。

実際、Agenda 21 の、その後の章でより具体的にそれらのことを展開して述べるという構造をしてます。最初に結論を述べ後でその具体的な内容を書くという構造化された文書の典型です。

実際、Agenda 21は、課題解決のためとして挙げている六つのプログラムの多くに対する具体的手段 Means of implementation として、(a) Financial and cost evaluation 資金とコスト評価 ととともに、(b) Scientific and technological mean 科学技術的手段、(c)  Human resource development, 人材開発、(d) Capacity-building 能力開発―この言葉は実際には限定的に発展途上国向けに使われることが多いようです―を挙げています。 これは、みな、冒頭のResources の具体的内容です。したがって、Resourcesの意味は、これらの具体的内容を一言で要約的に言った resource 「資源」、「なにかに資する源」なわけです。

国語辞書の「資源」

「資する金」、「資する財産」、「資する物」そして、「資する人」、「資する道具」、「資する情報」なわけです。つまり、資金、資産、物資、資材等々、さらに人材、人的資源なわけです。資人と言いたいところですが、これは日本語では別の限定的な意味なので使えません。

「資源」を、国語辞典で見ると、「産業の原料や材料になる物質。…地下―、人的―」(新明解国語辞典). この説明では resource に十分対応した言葉とは言えません。「自然から得られる生産に役立つ要素。… 地下資源・水資源・…人的資源…」(大辞林). なんで産業に限定しているのでしょう。「生産活動のもとになる物質… 地下―、人的―」(広辞苑)などとなっており、なぜか、「産業に資する…」に限定されてしまっている。resouce は、何に資するかはもっと緩い限定しかされていません。各種調べた限り、resource の訳語としてぴったりくるものはない、resource の概念を的確に表している単語はないように思えます。

もっとも的確に表しているのは、いわゆる、「人・金・物」です。しかし、多くは、「経営は…」という文脈で語られるので似たりよったりです。仕方がないので、辞書に記載されている意味を拡張したうえで「資源」と訳しておくのがよいでしょう。resource の意味を端的に表す一語が別にあればそれに置き換えることにします。あるいは、国語辞書学者が「資源」の意味を拡張して記載してくれることを期待することにします。

参照
国連 (1992) Agenda 21 https://sustainabledevelopment.un.org/content/documents/Agenda21.pdf (2017/06/04 閲覧)
厚生労働省(2003)  平成15年5月12日 職場における労働者の健康確保のための化学物質管理のあり方検討会 資料2 から

外務省・環境庁19章仮訳  http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/05/s0522-3b19.html#top (2017/06/04 閲覧)
日本化学工業協会 (2011) JCIA REACH Web Site から。 http://www.nikkakyo.org/reach/REACH-IT/ECETOC_TRA.html (2017/06/04 閲覧)

2016/06/21 ECHA 新版Chesar 3.0 リリース

2016年6月22日

 

欧州化学物質庁 ECHA 2016/06/21付で、REACH対応の公式リスクアセスメントとその報告書作成ツールChesarの新版3.0をリリースした。

下記URLから無償でダウンロードして使用できる。ただし完全に使うにはあわせて無償のIUCLID 6.0の導入が必要。

https://chesar.echa.europa.eu/web/chesar/view-article/-/journal_content/56_INSTANCE_M6zz/title/chesar-3-available-for-download

Chesar 3.0  6月21日リリース

2016年5月22日

2016-5-19 ECHA 欧州化学品庁、当初の予定より約2ヶ月遅れではあるが、6/21に、欧州の公式化学物質安全アセスメントと報告書作成ツールの新版 Chesar 3.0をリリースすると発表。
http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/new-version-of-chesar-available-in-june

あわせて同リリース日に開かれる無償のwebinarの申し込み受付を開始した。

Chesar 3.0 ベータ

2016年3月16日

欧州公式の化学物質アセスメントツール Chesar のニューバージョン 3.0 ベータバージョンがリリース。正式版は4月末。

https://chesar.echa.europa.eu/web/chesar/chesar-tool-archives

バイオサイド製品と処理品

2015年6月19日
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Biocidal products バイオサイド製品とTreated articles 処理品は違った概念です。EUで求められる要件が違います。ただし、処理品がバイオサイド製品になる場合もあります。

以下ここでは、法令等を訳すとき、わかりやすさを第1にしており、より厳密な把握のためには原文に当たられることをお勧めします.

処理品とは

欧州のバイオサイド製品規則(BPR, Regulation (EU) No 528/2012)では次のような定義がなされています.

「処理品」とは、一つ以上のバイオサイド製品で処理した、または、それを意図的に組みこんだ物質、混合物、あるいは、物品である(BPR 3条 1. l ).

treated articleと、短い名前を与えていますが、その意味は、上記の意味であり、バイオサイド製品で処理―処理及び意図的組込み―をした物品―物質、混合物、物品―を、処理品としています.

バイオサイド製品とは

規則3条1.(a)では定義が二つのインデント段落に分けて記載されています:

一つ目は、

  • 使用者が使うときの形態が物質又は混合物であり、かつ、
  • 下記の意図を目的とした、一つ以上の活性物質で構成されるもの、又は、それを含有するもの、それを発生するものであり、かつ、
  • 意図として、有害生物の破壊、弱体化、無害化、作用の予防、又は、その他の方法で有害生物の影響を抑えるものである.ただし、その方法には、単なる物理作用若しくは機械作用よる方法を含まない.

今一つは、

  • それ自身は前項に合致しない物質又は混合物であるが、
  • 上記の意図で使用することを目的としている物質又は混合物.

そして、

 殺生物性主な機能として持つ処理品はバイオサイド製品と考えるものとする.

としています.

処理品がバイオサイド製品として扱われるケース

最後の一文が、処理品とバイオサイド製品の関係の理解に重要です.

最後の一文が意味しているのは、バイオサイド製品(biocidal product)で処理―処理および組み込み―した物品を、BPR上処理品(treated article)と呼ぶ、その処理品自身の主な機能が殺生物機能(殺生物主機能 primary biocidal function)であるとき、その処理品はBPR上バイオサイド製品として扱われるということです.

では、殺生物主機能 Primary biocidal functionとは何か、そして、殺生物性(biocidal property)とは何か、これについてはまたこのサイトで近いうちに投稿します.

訳語について

このブログ投稿では、次の英単語の訳語として次のものを採用して、REACH/CLP/BPRでの訳語の一貫性をもたせて、わかりやすさを狙っています.

英単語 採用訳語 よくみられるその他の訳語
article 物品 アーティクル, 成形品
treated article 処理(物)品 処理成形品, 処理製品(成形品), 処理された成形品
product 製品
biocidal product バイオサイド製品 殺生物性製品、殺生物製品
biocidal function 殺生物機能 殺生物性機能
primary biocidal function 殺生物主機能
substance 物質
active substance 活性物質
mixture 混合物

例えば、REACHでもCLPでもBPRでもarticleという言葉が同じ概念で使われています.ただし、だからと言って、同じものを指すわけではありません.したがって、欧州が出す各種資料でも、必要に応じて、”not only articles within the meaning of the REACH Regulation”「REACH規則の意味における物品だけでなく」などと説明しています(ECHA 2013).
原文に忠実に、しかも、簡潔に、余分なことを記載せず訳すには、articleを物品と訳すのが良いと考えました.BPRにおけるarticleの意味は物品の日本語の本来の意味とそれほど違わず、REACH/CLPがかなり限定的に使われていると考えられます.BPRのarticleを「成形品」と訳してしまうのはかなり苦しいと考えます.

「バイオサイド製品」とproductの訳語として「製品」を使いましたが、わかりきったことかもしれませんが、productの意味を英英辞書で確認しますと、

a thing produced by labor

material created or produced and viewed in terms of potential sales

(Randam House Kernerman Webster’s College Dictionary Application ver1.0.8)

労働によって製造された物.創作され、製造されたもので、販売される可能性があるとみられるもの (小生の訳).

というわけです.さらに言わずもがなですが、日本語の「製品」の意味は、

原料に手を加えて作った品物 (三省堂 大辞林)

この最後の「品物」というのは今の文脈では少々気に入りませんが、まあいいでしょう.

要するに、バイオサイド製品とは、殺生物機能をもつように製造された物とざっくりとは理解できます.正確な理解はもちろん規則原文をよらなければなりません.

一方、article 物品は、

an individual object, member, or portion of a class; item; an article of clothing

an item for sale; commodity.

(同上)

ある種類の個別の物、その種類に属する物、その種類の属する一部の物; 衣料品、衣類

販売のための物、販売品;日用品

そして、日本語の「物品」は

品物。特に,不動産以外の有体物。 (三省堂)

「製品」(product)は、「産物」「製造物」;「物品」(article)は「商品」「品物」.前者は工業生産上の観点からの言葉であり、後者は商業取引上の観点からといってもいいと思います.

参考文献

BPR Regulation:  REGULATION (EU) No 528/2012 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 22 May 2012 concerning the making available on the market and use of biocidal products  http://echa.europa.eu/regulations/biocidal-products-regulation/legislation

ECHA 2013:  Control of treated articles in the Biocidal Products
Regulation http://echa.europa.eu/documents/10162/11106628/11_bshd_bernsel_treated_articles_en.pdf

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Chesar 2 翻訳用語集 物品 article

バイオサイド処理品

2015年6月14日

この文書は、ECHAの次のページの参考訳です.後半に若干の補足をしています.

ECHA > Regulations > Biocidal Products Regulation > Treated articles

ここの訳文では、treated article は、(バイオサイド製品で)処理した物品 =(バイオサイド製品) 処理品 と訳しています.

処理品 (Treated articles)

バイオサイド製品規則(Biocidal Products Regulation, BPR)には、一つ以上のバイオサイド製品で処理された物品、又は、意図的に組み込まれた物品の使用取扱いに対しての決まりがあります.

バイオサイド製品規則に従って、物品はEUで承認された活性物質を含むバイオサイド製品でのみ処理することができます.これは、旧バイオサイド製品指令(2013年9月1日からBPRにより失効)からの変更点です.旧指令では第三国からの輸入品はEUで承認されていない物質での処理が可能でした.例えば、ヒ素で処理した木材やDMFを含むソファーや靴.

企業は、販売する物品のバイオサイド処理について情報を、消費者にすぐに提供できるようにしておかなければなりません.消費者が処理物品について情報を求めてきた場合、その物品の供給者は45日以内に無償でその情報を提供しなければなりません.

処理品の表示ラベル (Labelling of treated articles)

処理品の製造者または輸入者は製品ラベルについて、分類、表示、及び、包装に関する規則(CLP規則)と、バイオサイド製品規則によって定義される追加的な要件に正しく従っている必要があります.

処理品の製造及び輸入者が、処理品を、バイオサイド製品規則(BPR)に従って、表示ラベルする必要があるのは次のような場合です:

  1. 処理品が殺生物特性(訳注:殺菌性や防カビ性, 防虫性)を持っていると宣伝文句を使うとき、
  2. 物品の処理に使用したバイオサイド製品中に含まれる活性成分の承認条件として、表示ラベルが求められている場合.

その表示ラベルは消費者に分かりやすく見やすく表示する必要があります.

処理品に対する経過措置

バイオサイド製品規則(BPR)には、旧バイオサイド製品指令からBPRへの移行をしやすくするための措置がたくさん用意されています.

2013年9月1日から、物品処理に使用するバイオサイド製品中の活性物質は、それが関連する製品タイプについて、すでに承認されているか、また評価中でなければなりません.

まだ承認プロセス中でない活性物質に対しては、2016年9月1日までの経過期間があります.処理品がすでに2013年9月1日の時点で既にEU市場にある場合には、継続して市場での販売を続けるために、企業は2013年9月1日までに、活性物質に関する全申請書類を提出する必要があります.活性物質書類は、関連製品タイプについてのデータが含まれていなければなりません.

もし活性物質が関連製品タイプについて承認されなかった場合は、この活性物質を含むバイオサイド製品で処理した、あるいは、組み込んだ物品は、その活性物質非承認の決定後180日目からはもはや販売できなくなります.

補足

バイオサイド製品規則(BPR)の規定するbiocidal treated article(バイオサイド処理品) の article(物品)であっても、REACH規則のarticle(物品)でないものがあります.バイオサイド処理規則にいうバイオサイドで処理した物品(処理品)には、物質(substance), 混合物(mixture), 物品(article)があると規則自身が言っています(BPR 第2条 1 (l) ).

物品(article)の基本的な意味がREACH/CLP/BPRで異なるわけではありません.

articleの一般的な意味は、

an individual object, member, or portion of a class; item: an article of clothing (Random House Kernerman Webster’s College Dictionary, Android版 ver1.0.8)

つまり、同種の物、構成要素、部分の一つであり、品物、品、物品、商品などを意味します.例えば、an article of clothingで一点の衣料品です.

あるいは、

an item for sale; commodity. (同上)

つまり、販売品、商品、物品です.

バイオサイド製品規則の”article”の意味は、この一般的な意味といってよいでしょう.先ほど言いましたように、バイオサイド処理規則にいうバイオサイドで処理した物品(処理品)には、物質(substance), 混合物(mixture), 物品(article)があると規則自身が言っています.

EU化学品の規制規則 REACHやCLPでは物品を物質や混合物から区別する必要がありました.そのために、物品の意味は、より限定(define)されています.

大筋簡単に言えば、REACHでは、登録すべきなのは物質であって、物品ではないとする必要がありますし.REACH SDS作成やCLP表示ラベルが必要なのは、物質や混合物であって、物品でないとする必要があります.ただし、REACHでは物品に関する規制も持っています.たとえば、化学品安全評価書における、物品使用取扱(service life)での消費者や労働者の物質暴露評価が求められています.

バイオサイド製品 biocidal products (製品)とバイオサイド処理品 treated articles は概念が異なり、法的要件も違います。これを区別する必要があります。しかし、処理品が製品になる場合もあります。これについては、別途このサイトで近いうちに投稿したいと思います。

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翻訳用語集 混合物 Mixture 

2015年5月14日

mixtureは一般的な辞書では次のように定義されている:

(technical) a combination of two or more substances that mix together without any chemical reaction taking place
(Oxford Advanced Learner’s Dictionary)

これはREACH/CLPにおける次の定義とさしてかわりない:

‘mixture’ means  a mixture or solution  composed  of two or more substances;
(CLP規則 第2条8)

しかし、substanceが純物質でなく、

‘substance’  means  a  chemical  element  and  its  compounds  in  the natural state or  obtained  by  any  manufacturing  process,  including any additive  necessary  to  preserve  its  stability  and any impurity deriving from  the process  used,  but excluding  any solvent which may  be separated  without  affecting  the stability  of the substance  or changing its  composition
(CLP規則 第2条7)

と定義されていることに留意する必要がある。

そう定義すれば、REACH/CLPの文脈でsubstanceは純物質に限らないし純物質の(一般的文脈での)混合物は(REACH/CLPの文脈での)混合物では必ずしもないということになる。

そもそもCLP規則の「混合物」の定義文にはこの異なる文脈での「混合物」が使われている。
 最初の”mixture”はCLP/REACHのmixtureであることは疑う余地がないが、後者の”a mixture”は一般的なmixtureといえる。後者を関係代名詞節により、REACH/CLPの「物質」を使って限定しているわけだ。この mixtureに付いているaは、定義の異なるmixtureがあることを示している。

このように考えると、REACH/CLPの「混合物」は人為的に混ぜたものと理解して大筋問題はなさそうだ。そう理解して違いが出るのは、物質の安定剤を人為的に混ぜたケースである。

米国の化学教育ではMixtureをどのように教えているだろう。ある米国の高校化学参考書では、Matter(物)はpure substanceとmixtureの二つに分けられるように教えている:

In this section, I discuss how all matter can be classified as either a pure substance or a mixture (see Figure 3-2)

(Chemistry For Dummies ®, 2nd Edition)

これは日本の高校化学での教育と変わらない。

二種類以上の違った物資がまじりあう現象が混合であり、混合の結果生じたものが混合物である.… 一種類の分子だけが集まってできている物質を純粋な物質という.自然界にある物質は混合物であることが多く、純粋な物質がそのまま存在することは少ない.(東京書籍 1972 新訂化学B)

結局、REACH/CLPのMixture、そしておそらくTSCAのそれの理解には「文脈」の理解が重要ということだ。